GT300|個性あふれるマシンたちのデッドヒート
SUPER GTのGT300クラスでは、個性あふれるマシンがトップレベルのドライバーによって駆使される。車重やホイールベース、パワーなど、車両ごとの特性はベース車両によって大きく異なる。また、GTA-GT300(旧名:JAF GT)・FIA GT3・マザーシャシーの3規格がGT300というひとつのクラスに詰まっている。
たとえば同じトヨタ陣営のGT300マシンにはスープラ・GR86・LC500h・RC Fという4車種が存在する。一番ホイールベースの短いスープラは軽量で小回りが効くが、レクサス系車両と比べると直進安定性に欠ける。「一緒に走っていてもまるでフォーミュラのようにクイックな挙動です」。
反対にLC500hなどのレクサス系車両はロングホイールベースを活かした高速コーナーの走りを得意とする。一緒に走るGT-Rなどは大排気量を活かした中間加速が持ち味だ。
「メルセデス・BMW・アウディなど海外勢GT3車両は、コーナーも速くてパワーもそこそこ出ているので、トータルバランスがいいイメージがあります。
同じ車種でもタイヤメーカーによりタイムの出かたも変わるので面白いです。さらに同じタイヤメーカーでも硬さ(コンパウンド)が違う場合があります。コンパウンドは一般的に表示されませんが、何か違うと感じたら、そこが要因の場合もあって奥が深いですよね。
ドライバー・セッティング・BOP(性能調整)も含めて、キマりにキマると手がつけられないほど速い場合も!」。
クルマの個性が違うので戦略も多彩だ。終盤にグリップがなくなることを覚悟して、ピット時間を短縮するためにタイヤ無交換作戦を実施するチームもいる。給油量もチームの戦略と結果を大きく左右する。給油時間が長くなっても全開で踏めるようにするのか、燃費走行のロスをピット時間でペイオフするのか。
チームが組み立てる戦略は必ずしも思い通りに進まない。予想外のセーフティカーでタイヤ・燃料戦略が破綻することも多い。ロスを取り返そうとして攻めすぎた走りをすると、レース後半でタイヤがバーストしてリタイヤする場面も。
ドライバーたちはクルマの強みを最大限に引き出す技量が求められる。「GT300には、ワンメイクのフォーミュラや規格が均一化されたGT500とは異なる、BOP(性能調整)でバランスのとれたマルチメイクならではの面白みがあります」。
2024年SUPER GT開催日程
Round | 日程 | サーキット |
---|---|---|
公式テスト#1 | 3/16-17 | 岡山国際サーキット |
公式テスト#2 | 3/23-24 | 富士スピードウェイ |
Round 1 | 4/13-14 | 岡山国際サーキット |
Round 2 | 5/3-4 | 富士スピードウェイ |
Round 3 | 6/1-2 | 鈴鹿サーキット |
Round 4 | 8/3-4 | 富士スピードウェイ |
Round 5 | 8/31-9/1 | 鈴鹿サーキット |
Round 6 | 9/21-22 | スポーツランドSUGO |
Round 7 | 10/19-20 | オートポリス |
Round 8 | 11/2-3 | モビリティリゾートもてぎ |
スーパー耐久|究極の異種格闘技戦
国内耐久レースの最高峰、スーパー耐久(S耐)シリーズ。「バックミラーを見ると誰もいない。前を見て、もう一回バックミラーを見るともう真後ろにGT3マシンがいるんです」と語るドライバーも多い。それもそのはず、たとえば富士スピードウェイの場合、ラップタイムが30秒以上も異なる9クラスのマシンが50台同時に走るのだ。
ドライバーに課せられたミッションは2つ。速く走ること、そして安全にバトンを繋ぐこと。「素早く抜く」「安全に抜かせる」という混走ならではの難しい仕事をこなしながらゴールを目指す。チェッカーを受けなければ、どんなに速いアタックも無駄になる。とはいえ安全ばかりを意識してタイムを落とせば負けてしまう。ピットから届く無線の仕事を忠実にこなすのは難しい。
S耐では10代の若手から70歳の大ベテランまで、多くのドライバーがかわるがわるドライブする。ステアリングを握るその手には、チーム全員の期待も込められている。
また、現在国内の国際格式のサーキットで唯一24時間レースが行われるカテゴリー。夜間走行用フォグを点灯して深夜に駆け抜けるレーシングカーを、テントを張って外から眺められるもの醍醐味だ。
「走っているとBBQしながら観戦を楽しんでいる方たちが見えます。一緒に楽しんで長丁場のレースをしている仲間という意識が生まれてきて、すごく一体感があって好きなんです!みんなでバトンを繋ぎながら完走し、いい結果を出せた時の喜びには、自分だけが戦うスプリントレースで勝ったときとは違う達成感があります」。
それと車によって得意不得意がわかるのもおもしろいポイント。小さい車でもコーナーは速かったり、雨で四駆が速かったり。またタイヤが消耗してきた時に異なるカテゴリーのマシンが重なってコーナーを曲がるシーンは見ていてもドキドキしますね」。
多くのプライベーターが集うS耐には多様多種なマシンが出場する。同じクラスの車両でも、強みや特性が異なる。トップカテゴリーのSTXクラスにはさまざまなGT3マシンが出走するし、ST5クラスにいたっては駆動方式の異なるマシンがトップを奪い合う。
各チームはベース車両の強みを活かすようにセッティングを施すため、立ち上がりの強いマシン、飛び込みが速いマシンなど様々だ。総合順位だけでなく、それぞれのクルマの動きにも注目してみると観戦の深みがグッと増すだろう。
2024年スーパー耐久開催日程
Round | 日程 | サーキット | レース距離 |
---|---|---|---|
公式テスト#1 | 3/31 | SUGO | |
1 | 4/20-21 | SUGO | 3時間×2 |
公式テスト#2 | 5/8 | 富士スピードウェイ | |
2 | 5/24-26 | 富士スピードウェイ | 24時間 |
3 | 7/27-28 | オートポリス | 5時間 |
4 | 9/7 | モビリティリゾートもてぎ | |
5 | 9/28-29 | 鈴鹿サーキット | |
6 | 10/26-27 | 岡山国際サーキット | |
7 | 11/16-17 | 富士スピードウェイ |
スーパー耐久の魅力については詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧いただきたい。