VITAの走らせ方・勝ち方
VITAは一般のハコ車とはドライビング方法が異なるレーシングカーだ。川福氏によれば、VITAで速く走るために気を付けるべきは3点。シフト操作、ライン取り、そして車体感覚だ。
シフト操作
「VITAを走らせる上で最も気を付けるべきポイントはシフト操作です。特にシフトダウンするときにしっかり減速できておらず、ダウンレブ(オーバーレブ)を起こしてしまうと、一気にエンジンの寿命を削ります」。
VITAに搭載されるVitzのエンジンは、限界領域での耐久性を重視したものではない。VITAのダウンシフトは「しっかり止めて、少し遅めにシフト操作」を心がけよう。
特に、新しくVITAに乗るドライバーはブレーキングの初期踏力が不足して減速が間に合わず、シフト操作が先行してしまうケースが多いという。
「シフトミスでエンジンを壊してしまうドライバーは非常に多く見かけます。最悪の場合はダウンレブ1回でエンジンのオーバーホールが必要になるので注意しましょう」。
ライン取り
「コース幅を思い切り使って、4脱(4輪すべてがコース外に出ること)ギリギリを攻める走り方はあまりおすすめできません」。VITAレースには最低地上高の規定がない。そのため、車体が背の高い縁石をまたぐと、パイプフレーム底部が縁石と接触する。
「縁石でマシンが持ち上げられるような状態になると、タイヤの接地面積がなくなってコントロールを失います。縁石との接触でフレームを傷つけると足回りのセッティングが出なくなったり、アライメントが狂うこともあります」。
また、コーナーへの進入から脱出にかけては、ブレーキングでコーナーの奥まで突っ込む走りよりも、ボトムスピードを稼ぐ走りを心がけよう。
「確かにVITAはコーナーの深くまで突っ込むような走りをしても止まります。しかし速いのは、若干テールスライドさせるようにコーナーを抜ける走り方。VITA用のタイヤは、縦に強く横に弱い特性があります。旋回時のグリップに頼ると、思ったように曲がらずに脱出速度を失ってしまいます」。