VITAならではの魅力
参入障壁が最も低いレーシングカー
VITAは新車435.5万円(税込・タイヤ/ホイール別)というピュアレーシングカーとしては低い価格と、扱いやすい運動特性によって、初心者からレジェンドドライバーまで幅広い層に支持されている。またVITAは購入後、レースに参戦するためのチューニングが不要だ。たとえばGR86を購入したままの状態で86/BRZ CUPを勝負するのは難しいが、VITAならそれが可能だ。
人気の高まりによって車両レンタルを提供するショップやガレージも増えた。メンテナンスなどの維持が困難であれば、マシンをレンタルして走ることができる。当然1回あたりのコストは割高になるが、VITAは購入へ踏み切る前にも乗れるレーシングカーだ。


自分で所有する場合、維持にかかるコストや手間が他のレーシングカーと比べて少ないこともVITAの特徴だ。乗り方にもよるがエンジンやブレーキは1シーズン通しで使用できるため、オーバーホールのスパンは長め。
「ボディは乗っているだけなので、衝突で損傷した場合でも修復の難度が低めなことも全開走行に向いています」。
また、コックピットが広めに設計されており、体格を選ばないことも人気に拍車をかけている。
レースは全国のサーキットでアマチュアのシリーズ戦が行われているだけでなく、レジェンドドライバーを集めて開催された「エイム・ザ・レジェンズ・クラブ・カップ」なども開かれた実績がある。23年は耐久レースにプロクラスも設けられ、プロと一緒に走る経験もできる。

扱いやすい運動特性
その特性を川福氏はこのように語る。「Super FJをマイルドにしたような乗り味です。まずエンジンは中間トルクが太く、トルクバンドに気をもむ必要の少ない出力特性。たとえば鈴鹿のシケインは3速で立ち上がります。操作感はハコ車とフォーミュラのちょうど中間といったところ。スポーツカーではロードスターやS2000をさらに軽快にしたようなフィーリングです」。
車高は、背の高い縁石に乗り上げるとパイプフレームの底部を擦るほど低い。最低地上高が規定されていないので、チームは好きなだけ車高を下げることができる。ドライビングポジションも低く、ワンシーターのコックピットに収まれば、その視界はさながらフォーミュラカーだ。
「タイヤは晴雨共用のラジアルタイヤ。スリックタイヤのように強烈ではないですが、スポーツ走行やバトルに十分なグリップを発揮します。このタイヤはあまり突っ込んでブレーキングする運転には向いていません。エンジンの排気量も小さいので、VITAはボトムスピードを稼いでコーナーを脱出するような走り方に向いています」。
ちなみにタイヤは23年にリニューアルされ、特にレイン時のグリップ力が高まったという。

