首都圏におけるレーシングカートのメッカといえば新東京サーキットだ。前後半で大きく性格の異なるコーナー群は攻略の歯応え抜群で、多くのドライバーを鍛え上げてきた。今回は新東京サーキットの近くにあるレーシングカートショップ「RS・GEN」の横川 隼人さんに、コースの攻略方法をうかがった。横川さんは新東京サーキットをホームとして、全日本カート選手権でも戦ってきた猛者。走り込んだ人だけが知っている路面状況も詳細に解説していくので、ぜひ参考にしてほしい。
前半セクション
「前半セクションはリアタイヤのグリップを使い、アクセルを踏んで抜けるコーナーが多いです」。
1コーナー
ホームストレートを抜けた先にある1コーナーは、少しRのきつい左コーナー。KTなど、100ccエンジンのカートであれば、軽いアクセルオフでボトムスピードを落とさないように曲がろう。ROTAX MAXやX30など、もっとエンジンパワーのあるマシンの場合は一瞬だけ軽いブレーキをかける。


「クリッピングポイントの先はエスケープゾーンが狭いのでコースが狭く感じますが、実際のコース幅は意外と広いです。進入前の見た目以上にアクセルを踏んでしまっても大丈夫なコーナーです。
アクセルオフのタイミングはコーナー進入直前、ステアリングを入れるタイミングでアクセルを抜いてフロントに荷重を乗せ、クリップまではフロントタイヤのグリップでマシンを曲げます。反対に、クリップから脱出にかけてはリアタイヤにトラクションをかけてマシンを曲げながら加速するイメージです」。
2コーナー
左に回り込む2コーナーには背の高い縁石が待っている。縁石に乗るとマシンの挙動が乱れないか心配なところだが、ここは迷わず思い切り縁石をカットして進もう。


「縁石に乗るときには必ず、アクセルを少しでもいいので踏んであげましょう。多少挙動が乱れても、推進力でマシンが前に向かうので外に大きくふくらまず、タイムアップが期待できます。2コーナーのエスケープゾーンは最近拡幅工事が行われたので、安心してアクセルを踏んでください」。
3コーナー
3、4コーナーは、1、2コーナーと中高速のコーナーを抜けた先にある、ヨーイングしながらマシンを左右に曲げていく難しい複合コーナーだ。ポイントはコース幅を目一杯使うこと。
「3コーナーはアウト側がバンクになっているので、アウト側から進入すると、バンクを使って高い速度でもマシンを曲げられます」。


また、3コーナーはRの異なる二つのコーナーがまとまった形状になっており、ライン取りが難しい。一つ目のクリップにはつきつつ、二つ目はタイヤ2個分ほど離れた位置を通るのが最速ラインだという。
「一つ目のクリップを離れたら、4コーナーに向けて加速していくセクションになるので、すぐにアクセルを入れましょう。目指すは4コーナーのイン側にある大きな縁石です」。
4コーナー
4コーナーは右に回り込んでバックストレートに入る前のコーナー。ここで立ち上がりの速度を乗せられるか否かでラップタイムが大きく変わってくる。スピンするドライバーが最も多いコーナーでもある。
「4コーナーはどのカテゴリーでも思い切り縁石をカットして、加速しながらアウト側いっぱいまで膨らみます。この縁石は乗ってもマシンが跳ねないので安心してください」。


4コーナーはアクセルを踏むタイミングと踏力の調整が難しい。アクセルを踏み抜くのが早すぎるとアウト側に引っ張られるが、遅すぎるとバックストレートに車速が乗らない。KTなどの100ccマシンではアクセルを踏んだまま調整しつつ抜けていくコーナーだ。
「進入時はアクセルを踏んだままステアリングを切ると、フロントがイン側に入る感覚があると思います。フロントが『入った』と思った瞬間アクセルをオフするとターンインがスムーズになります。
リアタイヤを使ってマシンを曲げるイメージですね。アクセルを踏んでいると、リアタイヤが流れます。その間にマシンの向きを適量変え、アクセルを抜くと、リアの流れが止まります。リアの流れが止まったら勝手にマシンはコーナーのクリップに向かいので、そこからはアクセルを踏んで立ち上がるだけです」。
アクセルをいきなり踏み込むとオーバーステアが発生してスピンしやすく、アンダーステアが出ればアウト側に持っていかれる。その間のスイートスポットを探してアクセルを開こう。
ちなみにアウト側の縁石は目一杯まで使うとダートにマシンを持っていかれるので、マシンの半分くらいを乗せるのが目安だ。