最も手軽なモータースポーツ体験はレンタルカートだ。全国各地に1走行2,000円程度からタイムアタックやレースを楽しめるサーキットが点在している。貸し出されているカートはサーキットによって異なり、車種やパーツの組み合わせによって乗り味が分かれる。今回はレンタルカートで日本一を獲得し、スーパー耐久シリーズへステップアップした川福健太氏に、日本で乗れるレンタルカートを徹底的に解説してもらった。
レンタルカートの特徴
レンタルカートはサーキットで借りられるカートで、多くの場合に免許を必要としない。それでも約60km/h以上の最高速と100km/h以上の体感速度を持つため、本格的なモータースポーツ体験が可能だ。
カートメーカーはレーシングカートとは別に、安全性や整備性を高めたレンタルカート用モデルをラインナップしている。多少の接触でマシンを損傷させないためのバンパーや、遠隔操作でスピードコントロールできる機能などが搭載され、初心者が乗っても安全にレースや走行が楽しめるように作られている。
多くのレンタルカートに搭載されるエンジンは4ストロークエンジン。レーシングカートに多く使用される2ストロークエンジンに比べると、回転数は低い代わりに大排気量でトルクを補う設計だ。またメンテナンス頻度が少なく済むため、一日中稼働するレンタルカートに適している。
サーキットによっては例外的にレーシングカートやスポーツカートをレンタルしている場合もある。レーシングカートは速度が高く安全装置も少ないため、一定以上のタイムを出したドライバーに限定して貸し出されているケースが多い。
今回はレンタルを主な目的として作られたカートに照準を絞って紹介していく。
Sodi シリーズ
世界で最も大きいシェアを持つブランドがフランス・Sodi社のレンタルカートだ。重めの車重からくる安定した操作感が特徴。利用者の多さを活かして世界大会も開かれている。サーキットで開かれるローカルレースで有効ポイントを貯めると、Sodi World Series(SWS)への道を切り開くことができる。
モデル(1人乗り大人用) | 主な特徴 |
---|---|
SR4 | スタンダードモデル |
SR5 | ペダル位置調整可能 |
RT10 | 上位モデル Proslideバンパー・F1ステアリング搭載 |
RSX2 | 電動モデル |
「SodiのレンタルカートにはSR4からRT10までグレードがラインナップされていますが、速さが大きく異なるわけではありません。違いは安全装備、ハンドル、ペダル、ロールバーなど。オプションパーツによっても運転のフィーリングが変わるため、人によってモデルの好みが分かれます。
操作性はレーシングカートなどに比べるとゆったりとしています。ハードブレーキングで一気にマシンを止め、リアを滑らせながら一気に曲げるような動きではタイムが出ません。レーシングカートやスポーツカートと比べて重量があるため、ハードブレーキや急旋回をしてもシャシーがついてきてくれません。カートができる動きの限界を聞き取りながら丁寧に走ることが重要になります」。
国内で貸し出されているSodiレンタルカートの構成はSR5シャシーにホンダのGX270エンジン、MEKA-ONEタイヤという構成がオーソドックスだ。GX270は4ストロークの空冷270ccエンジン。サーキットによって200ccのGX200エンジンや、他のタイヤを扱っている場所もある。最近はコストパフォーマンスの高さから台湾系のタイヤメーカーを使用するサーキットが増えているという。
エンジンのオプションにハイパワーな390GXも存在するが、取り扱いは少ない。&Raceで確認できている範囲では埼玉県の本庄サーキットが貸し出しを行っている。