BMW&MINI Racingは2018年にスタートした、JAF公認格式の混走式ワンメイクレースシリーズ。決勝は3クラス(ナンバー付きMini Cooper S・レース用John Cooper Works・レース用BMW M2 CS)混走で争われるため、毎レースでクラスをまたいだ周回遅れが発生する。
クラス違いの車両が交差する瞬間には、準備してきた戦略と技術が勝負を分ける。また勝者にはプレスルームでのインタビューが待っているなど、ゴージャスなホスピタリティも見逃せない。今回は2022年のCPSクラスでシリーズチャンピオンに輝いた川福健太氏や、各クラスで活躍中のドライバーに、BMW&MINI Racingの魅力と勝利の秘訣を聞いた。
BMW&MINI Racingとは
BMW&MINI RacingはBMWとMINIの混走で併催される。2024年シーズンは6ラウンド12戦が行われ、Youtubeの公式チャンネルでもライブ中継された。
各ラウンドでは2レース制を採用しており、ポイントは予選と2レースの総合成績で決まる。2レース目は1レース目の結果に応じたリバースグリッド。オーバーテイクが多く発生し、ファンを飽きさせないレース設計になっている。
Round | 日程 | サーキット |
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1 | 2024/4/13 | 富士スピードウェイ |
2 | 2024/5/11-12 | 鈴鹿サーキット |
3 | 2024/6/29-30 | 岡山国際サーキット |
4 | 2024/7/20-21 | スポーツランドSUGO |
5 | 2024/10/5-6 | 富士スピードウェイ |
6 | 2024/11/23-24 | モビリティリゾートもてぎ |
混走するカテゴリーはBMW M2 CS・MINI F56JCW CHALLENGE・CPSの3クラス。
クラス | ベース車両 | 車両・タイヤ | 富士スピードウェイ ドライ予選タイム(参考) |
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CPS | Mini F56 Cooper S | ナンバー付き・Direzza Z3 | 2分08秒台 |
JCW | Mini F56 JCW CHALLENGE CAR | レース専用車両・指定タイヤ | 1分57秒台 |
M2 CS | BMW F87 M2 CS Racing | レース専用車両・指定タイヤ | 1分52秒台 |
ラップダウンする際に道を譲る先行車と追い抜く後続車が重なる瞬間には、混走ならではのもつれ、いわゆる混乱が発生する。特にスーパー耐久シリーズやスーパーGTシリーズなどを観戦している方は、もつれに伴って発生する駆け引きの妙味を楽しめるだろう。
M2CSクラスにはレース専用車両のB2W M2CSが登場。スーパー耐久のST3クラスに匹敵するタイムで、迫力のあるスプリントレースを展開する。
MINI CHALLENGE JAPANに出走するMINIはレース専用車両のJCWと、ナンバー付きのCPSの2種類だ。昨年度行われた富士スピードウェイの予選タイムはJCWが1分57秒台、CPSが2分8秒台。タイム的には2分2~3秒台で走る86/BRZ Raceを中心に、前後約5秒のタイム差があると考えるとイメージしやすいだろう。
BMW&MINI Racingの特徴
BMW&MINI Racingは公式が謳っている通り、ラグジュアリーなレース体験が最大の魅力だ。毎レースの勝者はプレスルームに呼ばれ、ダンロップのキャップを被って記者のヒーローインタビューを受ける。また、公式チャンネルを通じて自分のレースが実況・解説つきで全世界に配信される贅沢は、多くのドライバーに許される体験ではない。
BMWやMINIのディーラーと連携した観戦ツアーも組まれており、通常のクラブマンレースでは考えられない人数のギャラリーがピットウォークやグリッドウォークに詰めかける。下の動画はその様子を写した映像だ。「このようなホスピタリティは、国内トップカテゴリーのビッグレース以外ではまず考えられません」と川福氏。
レース中は混走の中でいかに自分がロスなくレースを運ぶかが勝負のカギを握る。速いクラスに追い抜かれる際にラインを大きく外してしまえば、せっかくのブロックが崩れてライバルに抜かれる。逆にライバルが作った隙を突いてギャップを埋めることもできる。ライバルの混乱はこちらのチャンスだ。
「予選が非常に戦略的です」。BMW&MINI Racingでは、決勝レースだけでなく予選のタイムアタックも混走で行われる。そのため、レコードラインを走れるクリアラップの数は少ない。ドライバーは常にピットと無線で交信し、最速ラップを出すために走りを組み立てる。数少ないチャンスを確実にドライバーへ伝えるため、ピットも大忙しだ。