ドライバーとの信頼関係を重視
レプリが長く続いているのは「ドライバーとの信頼関係を築いてこれたから」という。不安をなくすためになんでも相談にのり、ドライバーの気持ちに寄り添うこと第一に考える。優しすぎるかなと思うこともあるそうだが「知らないふりはできない」と男気をみせる。
「僕をわかってもらえないと、言うことを信用してはもらえない。だから心のふれあいは大事です」
そんなふうに心を通わせてきたドライバーが成長していく姿を見るのは、何よりのやりがいだ。
「うちに来てよかったと思ってくれる、うちからプロへと育ってくれるのが一番の喜びです」
中には「生意気な口をきくので注意した子」もいるというが、「うちに来てプラスになったかとその子に聞いたら、そりゃなりましたよって。そういう口のきき方をする子でも、プラスになったと言ってくれる。嬉しいですよね」と目を細める。
もちろんそこには確かな技術力の裏付けがあってこそだ。
「自分たちの技術で、どれだけその車に息を吹き込めるか。四六時中その車のことを考えています。でも失敗もあるから大きなことは言えません。それを認めてプラスにしていくことが大切」とあくまで謙虚な姿勢で仕事にのぞんでいる。


プロを目指すドライバーへ
35年以上にわたりさまざまなドライバーを見続けてきた舘さん。「伸びるドライバーは、一つでも多くの知識を得たいと、僕らから聞き出そうとする気持ちが強い」という。「プロ志望でも、僕らに何も聞いてこない人もいっぱいいます。でもそういうのはやはり伸びない」とも。
また成長するためには、何にでも疑問を持つことが大事だと力をこめて言う。
「なぜという疑問がない限り、自分が直面したことを解決できない。疑問を持つことで、理屈が分かりもっと速くなるんです」
走るのが好きだといっても、自身の走りを磨くために何をすべきか四六時中考えている人と、ただ楽しいから乗っているという人とでは大きな違いがある。プロ志望であれば、前者でなければならないのだ。

壁を乗り越えていく力
フォーミュラレースではクラッシュも多い。修理代もかさみ心をくじかれることもあるだろう。だが舘さんは「それくらいでめげとったらだめ」と発破をかける。
「上のカテゴリはもっとひどいです。そこで諦めたら終わってしまう。高木だって英国参戦時に資金が足りないとうちから借金した。最後までやり遂げることが大事です」
挑戦を続けていれば、資金面や自身の技量など多くの壁に突き当たる。プロになるにはそれを乗り越えていく力量が必要なのだ。
「本当のレーシングカーとは、スピンした時にコース上で止まること」だと舘さんは言う。すぐレースに復帰できるからだ。後続車がいて危ないし難しいかもしれないが、「本来そうでないといけない。コース上で止まれないのはレーシングカーじゃない」と断言するその言葉には、レースを続けていくことへのこだわり、決して諦めないという姿勢がにじみ出る。
ただし、頑張るという言葉は簡単に使わないとクギも刺す。
「みんな頑張っているんです。だから人と同じことをやってるうちは本当に頑張っているとは言わない。人がしないことをやって、初めて頑張っている。皆が寝てる間に自分は何をするかということ。一緒に寝てたら頑張ってるわけない。それをわかってないと上には行けません」


プロになるドライバーは、幼少期からのカート経験者やスクール出身者など恵まれた環境にあることが多い。だがそれだけがすべてでもないともいう。
「吉田(広樹選手)は18歳のとき、FJをやりたいとお金も持たずに布団だけ積んできて、うちでゼロから始めた。そういう子のためにレース環境を作るのも仕事だと思っています」
一番入りやすいガレージでありたい
入門者向けフォーミュラとして人気の高いFJ。1980年にFJ1600として始まり、SUPER FJに形を変えたのち、2026年からはFJ1500として再スタートする。
舘さんいわく「FJはフォーミュラの本当の動きを持っている。いろんなことが学べる」という。「一番やりやすくて上を目指すには良いカテゴリー」だとも。実際FJでキャリアを積み、頭角をあらわしたトップ選手は数多い。
そのFJをはじめとするフォーミュラの底辺をしっかりと支えることが、レプリスポーツの大きな役割だ。そのためにも、一番入りやすいガレージでありたいと考えている。
現在68歳、「朝起きられなくなる時までは働き続けたい」という舘さん。「今は元気に起きられています。10年後は知らんけどね」と笑いながらも「可能な限り、若い子を育てていきたいです」と、生涯現役の意欲を燃やしている。



