日本では数多くの参加型モータースポーツが開催されている。JAF公認の参加型レースに的を絞っても凄まじい数がある。その中にはレースに詳しい人にも知られていないローカルカテゴリーもあることだろう。
この記事では「十勝スピードウェイ」で独自に開催されているローカルカテゴリーの参加型レースをご紹介する。これからレースデビューを考えている人や、他のサーキットへの遠征を考えている人は参考にしてもらいたい。
サーキット独自のローカルレースとは?
日本全国のJAF公認サーキットが各々に独自のレギュレーションを設定して開催されているレースがある。独自のレギュレーションと言っても、過去に自動車メーカーが開催していたワンメイクレース用の車両を流用するのが最近のトレンドとなっている。サーキットごとのコース特性、土地柄、参加者、近隣のショップガレージなどのニーズに合わせて変化していった結果、レギュレーションが独自化するようだ。
最も安価に始められるレースのひとつ!
サーキット独自のローカルレースに新規参戦する場合、車両の購入は中古一択になる。過去にレースで使用されていた車両を見つけることができれば、クルマ作りの手間は最小限に抑えることができる。最も安価にレース出場できるのが、このサーキット独自のローカルレースと言えるだろう。
十勝スピードウェイのローカルレース紹介
北海道の十勝地域にある北海道唯一の舗装された四輪サーキット。十勝スピードウェイ独自のローカルカテゴリーとしては過去のトヨタ系ワンメイクレースのヴィッツや86を使ったレースが開催されている。(オフィシャルホームページ)
N0-Vitz
旧Netz Cup Vitz Raceで使用されていた3代目ヴィッツ(NCP131型)を用いたレース。筑波サーキットのVitz Race、富士スピードウェイのFCR-Vitz、岡山国際サーキットのNゼロVitz、オートポリスのBoon!×2 street 1500(Vitzクラス)が類似レギュレーションとなっている。
出場車種 | 自動車登録番号標 | 開催数 | 出場台数 |
---|---|---|---|
トヨタヴィッツ (NCP131型) | ナンバー有り | 4回/年 | 4~5台 |
N1-1000
JAF国内競技車両規則 第3章, 第4章, 第5章”量産ツーリングカー(N1)”に合致した、初代ヴィッツ(SCP10型)を用いたレース。富士スピードウェイのN1000が類似レギュレーションとなっている。
出場車種 | 自動車登録番号標 | 開催数 | 出場台数 |
---|---|---|---|
トヨタヴィッツ (SCP10型) | ナンバー無し | 4回/年 | 3~5台 |
TS-86/BRZ
旧TGR 86/BRZ Raceで使用されていた車両を用いたレース。富士スピードウェイのFCR-86BRZ(Ⅲ)、岡山国際サーキットのNゼロ-86(クラス1)、オートポリスのAP86/BRZ(クラス3)が類似レギュレーションとなっている。
出場車種 | 自動車登録番号標 | 開催数 | 出場台数 |
---|---|---|---|
トヨタ86(ZN6型) スバルBRZ(ZC6型) | ナンバー有り | 4回/年 | 4~5台 |
ザウルスJr
レース専用車ザウルスJrを用いたレース。かつて日産自動車が市販したレーシングカー”ザウルス”の弟分。ザウルスJrを用いたレースが開催種目として残っているのは十勝スピードウェイのみ。
出場車種 | 自動車登録番号標 | 開催数 | 出場台数 |
---|---|---|---|
ザウルスJr | ナンバー無し (特殊レーシングカー) | レース 不成立 | – |
その他の開催カテゴリー
全国的に共通レギュレーションで開催されているレースとしては、VITA-01が年4回でシリーズ開催されていて人気を集めている。その他の自動車メーカー系のワンメイクレースは道外からの出場者もあって台数は多い傾向にある。
カテゴリー名 | 開催数 | 出場台数 |
---|---|---|
VITA-01 | 4回/年 | 13~20台 |
N-ONE QWNER’S CUP | 1回/年 | 22台 |
TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup | 2回(3レース)/年 | 35~41台 |
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup クラブマンシリーズ | 2回/年 | 20台 |
JAFツーリングカー選手権 ロードスター・パーティレースⅢ ジャパンツアーシリーズ | 1回/年 | 12台 |
Fomula Beat地方選手権 | 1回(2レース)/年 | 8台 |
よくある疑問点を解説
本州から十勝スピードウェイへの移動手段は?
今回紹介した十勝スピードウェイは本州と自動車用の道路では繋がっていないサーキット。そのためフェリーを使った海路での移動が必要となる。北海道の主なフェリー乗場は函館・小樽・苫小牧の3か所。本州の主なフェリー乗場から北海道までの移動時間を下記の表にまとめたので、本州から十勝スピードウェイへ遠征をする時の参考にしてもらいたい。
本州から十勝スピードウェイへの所要時間
出発地 | 到着港 | フェリー 航行時間 | 北海道内 移動時間 | 合計 移動時間 |
---|---|---|---|---|
青森港 | 函館港 | 3時間40分 | 約6時間 | 約10時間 |
八戸港(青森) | 苫小牧港 | 8時間00分 | 約3時間 | 約11時間 |
秋田港 | 苫小牧東港 | 10時間30分 | 約3時間 | 約13時間半 |
仙台港 | 苫小牧港 | 15時間00分 | 約3時間 | 約18時間 |
新潟港 | 小樽港 | 16時間15分 | 約3時間半 | 約20時間 |
大洗港(茨城) | 苫小牧港 | 17時間45分 | 約3時間 | 約21時間 |
敦賀港(福井) | 苫小牧東港 | 20時間00分 | 約3時間 | 約23時間 |
舞鶴港(京都) | 小樽港 | 20時間55分 | 約3時間半 | 約24時間半 |
北海道から本州のサーキットへ遠征は可能なのか?
北海道在住で十勝スピードウェイに出場したいレースが無かった場合、北海道から本州のサーキットへの遠征を考える必要がある。北海道から本州の各サーキットへの所要時間を調べてみたところ、金曜日から月曜日までの4連休を確保できれば不可能ではないようだ。
北海道から本州の各サーキットへの所要時間
目的地 | 出発地 | 到着港 | フェリー 航行時間 | 陸路 移動時間 | 合計 移動時間 |
---|---|---|---|---|---|
スポーツランドSUGO | 苫小牧港 | 仙台港 | 15時間00分 | 約1時間 | 約16時間 |
モビリティリゾートもてぎ | 苫小牧港 | 大洗港 (茨城) | 17時間45分 | 約1時間 | 約19時間 |
筑波サーキット | 苫小牧港 | 大洗港 (茨城) | 17時間45分 | 約1時間半 | 約19時間半 |
富士スピードウェイ | 苫小牧港 | 大洗港 (茨城) | 17時間45分 | 約3時間半 | 約21時間半 |
鈴鹿サーキット | 苫小牧東港 | 敦賀港 (福井) | 20時間00分 | 約2時間半 | 約22時間半 |
岡山国際サーキット | 小樽港 | 舞鶴港 (京都) | 20時間55分 | 約3時間 | 約24時間 |
フェリーの運航ダイヤに注意!
長距離フェリーの場合、1日の運航本数は通常1本のみ。その1本のみの運航ダイヤが自分のレーススケジュールに支障をきたさないかは注意しておく必要がある。私も自宅からの移動を想定して何パターンかシミュレーションしてみたが、かゆい所に手が届かないパターンが多かった。あえて一日の運航本数の多い短・中距離のフェリーを使い陸路の移動を増やすなどの工夫が必要なようだ。逆に北海道から距離的に遠い鈴鹿サーキットや岡山国際サーキットの方がフェリーの運航ダイヤ的にハマることもある。
レンタルパッケージを活用する方法もある!
フェリーを使った移動が時間的な問題で難しい場合はレンタルパッケージを利用する手段もある。レンタルパッケージというのは、レースに出場する車両のレンタル代、車両の運搬代、走行前後のメンテナンス工賃、メンテナンスにかかる消耗品、レース当日の出張メカニック費用などが全てセットになったサービス商品のことだ。レース車両はサーキット近隣のレーシングチームが準備するので、ドライバーはライセンスと装備品だけ持って飛行機とレンタカーでサーキットに行くだけでレースに出場できる。詳しくは”海外製レーシングカー”編で解説予定なので参考にしてもらいたい。
この記事の中に出場したいレースが無い場合は・・・
この記事では「十勝スピードウェイ」のローカルレースをご紹介したのだが、残念ながら“この中には出場したいレースが無い” そんな人もいることだろう。その場合は他で公開している”他のサーキットのローカルレース”と”全国共通レギュレーションのローカルレース”をまとめた記事も参考にしてもらいたい。
他のサーキットのローカルレース紹介記事リンク
- “十勝スピードウェイ”編
- “スポーツランドSUGO”編 (順次公開予定)
- “モビリティリゾートもてぎ”編 (順次公開予定)
- “筑波サーキット”編 (順次公開予定)
- “富士スピードウェイ”編 (順次公開予定)
- “鈴鹿サーキット”編 (順次公開予定)
- “岡山国際サーキット”編 (順次公開予定)
- “オートポリス”編 (順次公開予定)
全国共通レギュレーションのローカルレース紹介記事リンク
- “自動車メーカー系ワンメイクレース”編 (順次公開予定)
- “海外製レーシングカー”編 (順次公開予定)
- “日本独自のレーシングカー”編 (順次公開予定)
- “JAF/FIA選手権”編 (順次公開予定)
“出場したいレースが無い” 場合は、調べる範囲を広げて、耐久レースやスピード競技、JAF非公認のレースを探してみて欲しい。日本の参加型モータースポーツの裾野は広い!出場したいレースはきっと見つかるはずだ。