「CPSクラスは○○し過ぎない」が勝利の秘訣!
CPSクラスでも、富士スピードウェイでは最高速が210km/hに達する。1コーナーで約50km/h台まで減速する制動や旋回などの性能について、川福氏はこう語る。
「ミニと聞くと可愛いイメージがあるかもしれませんが、走る・曲がる・止まるの運動性能は想像以上でした。特にフルブレーキングは顕著で、大口径ブレーキを使用しても1.5kmのストレートで冷え切らないほどにローターが加熱します。2リッターターボの走りはそのビジュアルとは裏腹にパワフルで軽快です」。
また「CPSクラスでは電子制御と熱をいかにコントロールするかが重要」と言う。
全開走行を続ければ油温・水温が上昇し、電子制御が介入してパワーをコントロールしようとする。また、フルブレーキングで荷重が極端にフロントタイヤにかかると、これまた電子制御が介入してブレーキングを緩和してくる。
これらの制約をギリギリのところで回避するクルマづくりの戦いが、ワンメイクとはいえレース前から始まっている。たとえばパワーアップのために大型インタークーラーの装着などが認められているが、夏場はあえて通常のものを使うのだという。
「インタークーラーはラジエーターの前に縦置きしているので、暑い時期の大型インタークーラーはラジエーターの冷却を邪魔してしまいます。また、ブレーキパッドはCPSクラスで他のドライバーが使用しているものよりもJCW用のモデルを使った方がいいのではと思い、これから検討と実験を進めます」。
プッシュした走りは、レースの早い段階でクルマを限界へと追い込んでしまう。各車ブレーキキャリパーやローターをホイールの限界まで大口径化し、前後輪で摩擦材を変えるなどの対策をしているが、決勝では数周でブレーキのフェードが始まる。タイヤの内圧も大きく変動するので、レース終盤、ドライバーはマシンのリアが振られるような挙動と格闘しながらのドライビングスキルが試される。
スリップストリームを多用する、レブリミットいっぱいまでエンジンを回すなど、油温・水温を上昇させるドライビングをここ一番以外で使い続けると、結果的にタイムを落とすことになる。大きくタイムを落とさない場面ではショートシフトでエンジンへの負荷を抑え、バトル中でなければブレーキングで無理をしないなど、冷静なドライビングが最終的なリザルトを引き上げることに貢献するという。
ラグジュアリーな世界が広がるBMW&MINI Racing
白熱したレースをクールに運営しているBMW&MINI Racing。中でも川福氏が戦ったMINI CHALLENGE JAPANのCPSクラスはナンバー付きで身近なだけなく、3カテゴリーの中で最も出走台数が多い。市販のDIREZZA Z3タイヤで全国を転戦できるという点も魅力だ。
もしレースに参戦すれば、同伴者にラウンジで観戦を楽しんでもらうこともできる。初めての公認レースを他の人より特別な時間にしたければ、BMW&MINI Racingは格好のフィールドだろう。