OKマシンの魅力・特徴
OKマシンの特徴はなんといってもパワフルな駆動と強烈なグリップ。その挙動は激しいGを生み、ドライバーの体力を容赦なく奪う。コーナリング中の横Gで首がアウト側に傾いて戻せなくなることを、レーサーは「首が折れる」と表現する。OKを経験したドライバーの多くが「今まで経験したどのマシンよりも辛い」と語る。コーナリングでは後輪だけでなく、前輪もインリフトする。
3種類のエンジンとタイヤ
パワフルなOKエンジンは、IAME・TM・VOLTEXの3メーカーが生産している。
「日本ではTM製エンジンのシェア率が高く、成績も出ています。海外ではIAMEユーザーが多いので、その国に入ってくるエンジンの個体や情報の差があるかもしれません。いずれのエンジンもキャブレター調整の幅がとてもシビアでナーバスなエンジンです」。
全日本選手権のタイヤがマルチメイクだった時代は「タイヤ戦争」と呼ばれるタイヤの開発競争が熾烈だった。YOKOHAMA、BRIDGESTONE、DUNLOPの3メーカーはそれぞれ特徴の異なるタイヤをレースに供給していた。
「BRIDGESTONEは加減速方向の、DUNLOPはコーナリング方向のグリップが高い傾向にありました。YOKOHAMAのタイヤはグリップ力が低めですが、アジャストしやすい性格をしており、一長一短。ハイグリップタイヤはすぐに摩耗して『タレ』が発生するため、タイヤの特性に合わせたマネージメントが必要です」。
本気でマシンを作り込むことが速さを生む
「OKクラスはマシンの作り込みが重要です。パーツをひとつ変更したときのタイム影響が大きいカテゴリーのため、経験豊富なチームはセッティングを煮詰めるのが速く、同じシーズンでも2倍、3倍のスピードで熟成が進みます」。
レギュレーションで許された範囲でシーズン中の改造も可能なOKクラスは、セッティングがレースを左右する。しかし、熟練のメカニックとドライバーが揃っても最適なセットが組めず、「セッティング沼」にハマるケースも多いという。OKクラスに参戦するドライバーはドライビングの引き出しが多い。一方でクセや特徴もあるため、完璧に合わせこむのは至難の業だ。
「OKはエントリー向けのKTや、ジェントルマンにも人気のROTAXと比べて、カジュアルなチームがほとんどありません。チームは本気でマシンを作っているので、OKの門を叩くときには相応の覚悟が必要です。一方でドライバーも速さと本気度を示すことができれば、チーム一丸となってストイックに速さを求める世界を体験できるでしょう」。