スーパー耐久にも参戦する岩岡万梨恵選手は、マツダ主催の女性ドライバー育成プログラム「Mazda Women in Motorsports Project(MWIM)」一期生だ。それからはロードスター、そしてパーティレースとともにキャリアを積み重ねてきた。今回は岩岡選手の成長を支えたそのロードスター・パーティレースの魅力に迫る。聞き手はアナウンサーの結川愛寿加さんと&Race編集長の三上和美。
競技性の高さと学びの多さが魅力
ロードスター・パーティレースはナンバー付きのロードスターで争われるワンメイクレース。車両の改造やセッティング範囲は狭く、タイヤは1種類(POTENZA Adrenalin RE004)しかない。さらに接触が発生すると、それに絡んだすべての車両がそのレースでポイントを得られなくなるという厳しさもある。
厳しいルールがドライバーの引き出しを増やす
接触=ノーポイントのルールについて岩岡選手は「大事なクルマを傷つけたくはないですし、クラッシュすればレースが終わってしまいますよね。ぶつけない、ぶつけられないレース運びをはじめ多くの学びを得られます」とその意義を語る。
また、チューニングやセッティングが制限されていることで、レースはディーラーに置かれている「吊るし」に近い状態のマシンで争われる。そのためレーシングカーと比べて足回りは柔らかく、車体が大きくピッチ、ダイブ、ロールする。
「初めて乗ったときから、よく動く足だと思いました。荷重移動がよくわかるクルマで、今ではそのくらいロールしないと怖いと思うほどです」

競技に指定されているラジアルタイヤが最もグリップ力を発揮するスイートスポットは、新品時ではなく適度に消耗した状態だ。タイヤ溝の深さは「予選開始前に4mm以上、レース終了後も1.6mm以上」と定められている。ドライバーはレース前の走行でタイヤの残り溝と空気圧を調整し、自身の走りに最適な状態を作り上げる。
「サスペンションの組み換えはできませんし、キャンバー角もフロント-2°、リア-3°までしかつけられません。なのでセッティングでは空気圧が非常に重要です」
シリーズ上位を占めるドライバーたちは、職人さながらにタイヤの減りと気温、湿度、タイムなどをデータに残し、エンジニアのようにセッティングを突き詰めるという。
岩岡選手のドライビングアドバイス
ロードスター・パーティレースで好成績を狙うためのアドバイスを岩岡選手に聞いた。
「ドライビングでは基本に忠実な走りが大切です。車体のロールがタイヤを潰しすぎればグリップしなくなり、スライドを起こせば一気にタイムロス、ポジションダウンを起こします。全員イコールコンディションで走っているので、ワンミスが命取りです。またエンジンがNA(自然吸気)なので、一度落ちた回転数を戻すのには時間がかかります。コーナー脱出時のハンドルの戻し方やアクセルの踏み方がとても重要ですね。
レース中はミスをしないこと、相手の位置取りを感じ取ることが大切です。ロードスターは走行音が静かなので、『音で接近に気づく』ことができません。ミラーで把握できない死角にも気を配りながらブロックラインを走るので神経を使います。逆に相手のミスを誘発するためにパッシングを多用します」

ナンバー付きならではの低コストさ
ロードスター・パーティレースはナンバー付き車両で行うため、サーキットへの往復は自走が可能。また、マシンの消耗が少ないことも魅力だ。チームによってはマシンのレンタルも行っているが、岩岡選手は練習機会を確保するためにマイカーでの参戦を推奨している。
「ブレーキパッドもサーキット走行のたびに交換するほどは減りません。マツ耐(マツダファン・エンデュランス)用のパッドはさらに持ちが良いです。サーキット走行に慣れるタイミングでは、長持ちするパーツでたくさん走ることも手段のひとつです。
私は北日本・東日本・西日本のシリーズすべて、北はSUGOから南は岡山国際サーキットまで自走で参戦していました。岡山への往路は元気いっぱいなのですが帰りはヘトヘトで、パーキングエリアで寝ているところをメカニックさんに起こしてもらったことも」
アットホームさは何年経っても健在
ロードスター・パーティレースはその名の通り、アットホームなレースイベントがそのルーツだ。20年以上の歴史の中で多くのプロドライバーを輩出してきた実績がありながらも、ドライバー同士が和気あいあいと交流する一面を持つ。岩岡選手も「たくさんのお父さんに育ててもらった」という。
「あまりに上手く走れないことに涙をこぼしていたときにも、声かけやアドバイスに救われました。今でもサーキットなどで会うと『久しぶり!』『応援しているよ!』と言ってもらえます」

4輪レースの登竜門として若手ドライバーの参戦が増えている背景には、「ロードスターを乗りこなせればどんなクルマでも走れる」という奥深さがある。好成績を残したドライバーにはスーパー耐久へとキャリアアップできるスカラシップ制度も充実し、注目度が高まっている。
「荷重移動やブレーキのリリースポイントの一つひとつに向き合っていけば、楽しさが増すと同時に結果もついてくるでしょう。ロードスター・パーティレースは、これからレースを始める方がとても楽しく学べる場所だと思います」
愛車はNA型ロードスターで、スーパー耐久の参戦マシンはNDロードスターという岩岡選手。ロードスターを楽しみ尽くす方法を教わりたい方は、ぜひRacing School GoTakeでレッスンを予約してみてほしい。


