F1・WRC・GT500など、ビッグレースはレベルが高く、演出も華やかで観戦が楽しい。その魅力は皆が知るところだろう。その一方で、純粋に面白いにもかかわらず魅力が十分に伝わり切っていないレースもある。そんなレースをレーサーの甲野将哉氏に選んでもらい、見どころや楽しみ方を紹介していこう。レースによってはサーキットの入場料だけで観戦できることもあるので、ぜひ参考にしてほしい。
GT World Challenge Asia(SRO GTパワーツアー)|華やかな国際格式レース
GT World Challenge(GTWC) AsiaはGT3・GT4車両で争われる60分のスプリントレース。世界中の耐久レースなどでトップカテゴリーを走るGT3車両とGT4車両がしのぎを削るレースは迫力満点かつハイレベルで、年々知名度が上がりつつある。Youtubeの公式チャンネルは登録者50万人に迫る人気だ。
2024年からは、これまで同一チャンピオンシップ内で開催されていた、GTWC Asiaとジャパンシリーズが切り離される。これによって日本国内の独立カテゴリーとしてアマチュアドライバーが参加できるGTレースが誕生した。
「立ち並ぶマシンはフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、マクラーレンなど豪華絢爛。去年(2023年)はカーガイ・レーシングから最新のフェラーリ296 GT3が初お目見えしました。パドックに行けば外国語が飛び交い、中継は全部英語。日本で行われるレースですが国際色豊かです」。
登場するドライバーは、ワークス所属などのプロと、トップレベルのジェントルマン。レベルが高いのは当然として、レースの文化が日本とは異なるという。
「主催団体SRO自らが、アマチュアも参加できるGTスプリントレースと謳っているだけあり、意地の張り合いが激しいです。クラッシュも多いですが、絶対に行かせないvs絶対に抜いてやるという気迫あふれるドライビングは見ごたえがあります。
ドライバーの順応性が高い代わりに日本の常識は通用しません。ドライバーによっては鈴鹿の逆バンクから第二セクターにかけてコース幅を大胆に使ったラインどりなど、珍しい走りを見られます。雨になるとさらにいろいろな走り方が見れます。常識破りのラインでとんでもなく速い海外線選手に度肝を抜かれることも。スーパーカー好きな僕としてはどうしても興奮しちゃいますね」。
GTWCに出場するドライバーたちの懐事情は十人十色だ。なんとか資金をやりくりしている人もいれば、クラッシュ・接触を意に介さない富豪もいる。「イブラヒム選手なんて王子ですからね。多少ぶつけてもチャレンジすることが多く、パドックにはスペアマシンがいくつも並んでいるなんて噂も。コース上ではあまり近づきたくないドライバーが多いみたいです(笑)」。
そんなGTWCはあまり国内でショーアップされていない。観に行くなら人気が高まる前の今がチャンスだ。たとえば鈴鹿ラウンドは入園券+500円で2日通しのパドックパスが買える。牛丼一杯の値段でスーパーカーの饗宴をお腹いっぱい見ることができる。
2024年GTWCアジア開催日程
Round | 日程 | サーキット |
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Round 1 | 4/20-21 | セパン国際サーキット |
Round 2 | 5/11-12 | チャーン・インターナショナル・サーキット |
Round 3 | 6/8-9 | SUGO |
Round 4 | 6/22-23 | 富士スピードウェイ |
Round 5 | 7/13-14 | 鈴鹿サーキット |
Round 6 | 8/24-25 | 岡山国際サーキット |
Round 7 | 9/13-15 | 上海インターナショナル・サーキット |