吉田 寿博さんインタビュー
レースが残り1時間を迎えたところで、SUPER GTなどのYoutube中継「SUBARU On-Tube」やJ SPORTSでSUBARUの解説を行っている吉田 寿博さんに走りを伺った。吉田さんは自身もドライバーとしてスーパー耐久チャンピオン、ニュルブルクリンク24h参戦などの経歴を持つ。
ここまでの走りはいかがですか?
吉田 大きな車両のトラブルや人為的なミスはなく、淡々とクラス3位で進んでいます。最初に受けた追突の影響によるマフラー交換や、リアのデフ温度警告を解消するためのピットインがありましたが、それ以外は順調です。
思ったより気温は熱くないですが、霧雨が続いてウェットタイヤを選択する必要があるほど路面が濡れました。それでも大きなトラブルなく走り切れそうなのは、クルマのバランスが良く仕上がっている証拠だと思います。チームの雰囲気も良く、それぞれのメンバーが仕事をこなして笑顔のチェッカーを待っています。
スティントを終えたドライバーインタビュー
スタートドライバーはいかがでしたか?
伊藤 緊張でもうドキドキでした。井口選手や周りのチームと話してスタートのアドバイスをもらったので、スムーズにスタートできました。
井口 「24時間のスタートは長いレースの物差しになるので重要ですよ!」とプレッシャーをかけました(笑)。実際にスタートすると安定したラップで物差しを示してくれたので、そこからはタイムを伸ばしていくだけでしたね。クルマも調子が良かったので、順調に走れました。
夜の雨はいかがでしたか?
伊藤 私のスティントで雨が降り始めたので、スリックタイヤで、レインコンディションを走るという初めてづくしでとても怖かったです。
井口 しっかり降っているときのウェットタイヤの方がタイヤがグリップするのでまだ楽ですね。
伊藤 一番ドキドキしました。ギリギリ(事故なく)走れました。
井口 雨雲レーダーには影がなかったので「スリックで行こう」ということになったのですが、いざ走り出すと結構な降雨量。ウェットタイヤのチームもいましたが、スリックタイヤの方が総合的に速い状況だったので、45周くらいスリックを続投しました。伊藤さんもかなり怖かったんじゃないかと思います。
伊藤さんは夜が明けてからのスティントも安定して速く、言ったことをすぐに実現するので素晴らしいです。
伊藤 先生(井口選手・山内選手)がいいからですよ(笑)
ラストランへの思いはいかがですか?
伊藤 この2年間積み上げてきたものを出しました。正直まだやりたいことは残っていますが、次に向けた課題も見つけられたので引き続き改善を進めたいです。
井口 (SUPER GT・スーパー耐久・86/BRZ Cup)ずっとBRZに乗っているので、ひとつのシリーズがBRZではなくなるのは少し寂しいですが、新技術を試していけることがST-Qクラスの良さだと思います。
BRZでやり残した課題は市販車にフィードバックしたいので、レース以外でも取り組んでいいきたいです。伊藤さんがプロ並みの速さを出しているので、同じような感覚で話せます。今後の車両開発が楽しみです。
ファンへのメッセージ
伊藤 BRZはラストランですが、スバルのスーパー耐久参戦は続くので、SUBARU車の未来に続く技術とエンジニアの育成を進めていくので引き続き応援よろしくお願いいたします。
井口 ベース車両はオートポリスで変わりますが、常に新しいチャレンジは続けていきます。SUBARUと言えば走りだと思うので、ドライバー一同コミュニケーションを取りながら、オーナーのために現場でいいレースをして、いい開発につなげていくことが重要だと思います。
ラストランを無事完走
ファンと関係者の盛大な出迎えを受けながらピットに帰ってくるマシンたち。結果は終盤の順位を守り抜いての3位表彰台。改めて関係者にラストランを表彰台で終えた気持ちを伺った。
山内 無事に終わってよかったという思いと、SUBARUの皆さんが「集大成」を掲げて挑んだレースだったので、その言葉にふさわしいレースができたと思います。夜の走行では花火を楽しんだり、スリックレインで走ったりと楽しい時間を過ごせました。
レース終わりでみんな眠そうですが、チームの仲間は嬉しそうにしていますし、いい24時間を過ごせたと思います。また、ピットウォークでは多くのファンに足を運んでいただけました。関心の高まりも感じたので、新たなマシンでもより良いクルマづくりをしていけるように切磋琢磨していきたいです。
SUBARU ST-Qクラスの新マシンは7/27-28オートポリスデビュー
SUBARUが次にスーパー耐久の舞台で熟成を進めるマシンはWRX S4ベースの「HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT」。BRZとは異なり、4WDのターボ車というパッケージングはどんな走りを見せてくれるのか期待が高まる。
デビュー戦は7/27-28の第3戦オートポリスだが、一足早くその姿や特徴を知りたい方はぜひこちらの記事もご覧いただければ幸いだ。