走行性能
「FIA F4のような加速力があり、そのパワーは回転の全域でまんべんなく発揮されます」。
エンジンはハリアーやカローラツーリングに搭載されている市販車用だが、590kgの軽量なボディがフォーミュラカー然とした加速を可能にしている。
スリックタイヤはヨレにくく、スペースフレームで作られたマシンは剛性が高い。コーナリング時などには、VITAと比べてその剛性感を際立って感じられるという。「コーナリングの感覚はツーリングカーよりもシャープで、F4などのミドルフォーミュラにも似ているところがあります。少し重くなったフォーミュラと言った感じです」。
VITAが乗りやすさと手軽さで幅広いドライバーから支持を集める一方、その延長線上にあるv.Granzがピーキーでは困るのではないかと思い、その点を聞いてみた。
「よくできたクルマなんです。重量がある分、フォーミュラより動きがマイルドで、パドルシフトのドグミッションと合わせてエンジン音が気持ちいい。前に荷重を載せればしっかり向きも変えられますし、アクセルオンでリア荷重にもなる。スリックタイヤなのでVITAより動きがソリッドですが、基本に忠実なのでコントロールしがいがあって楽しいクルマです!」。
操作時に介入してくる電子制御は存在しないため、ドライビング時には「機械」としてのクルマと向き合って運転する必要がある。マシンの挙動を感じながらドライブしよう。
「これまでVITAやハコ車に乗ってきて、もっと刺激的で、よりレーシングカーらしいクルマに乗りたいという方には最適でしょう」。
スリックタイヤのグリップや、長方形のステアリング、パドル操作するドグミッションなど、ナンバー付き車両では味わうことのできない要素が詰め込まれたv.Granz。これまでのスポーツ走行に満足できなくなってきた人にうってつけだ。
v.Granzの走らせ方
「基本は少しアンダーステア傾向ですが、前荷重にするとよく曲がります。なので、少し速いと思う速度からブレーキをしながらステアすることでよく曲がります。でもやりすぎると想像以上にリアが軽くなりスピンします。フォーミュラ系のマシンには珍しい前後同サイズのタイヤを使用していることが原因かもしれませんね。ピッチングコントロールを意識しましょう」。
ハコ車よりはクイックだが、フォーミュラカーよりはマイルドというv.Granzの特性を活かすためには、繊細なピッチングに慣れることが肝心だという。また、大重量・大パワー車とは真逆の性格を持つマシンのため、立ち上がりで一気に加速する走りよりも、基本的なアウト・イン・アウトで走った方がいい。
「v.GranzはMRで重量配分が後ろよりなので、速度コントロールと前荷重をうまく作れないとアンダーステアが出やすいマシンです。速い速度でも前後の荷重移動を意識して加速する時間を長く取りましょう」。
基本に忠実な操作をすれば、レーシングスリックを履いた生粋のレーシングカーならではの、風のような走りを体感できるだろう。
レースファンの心をくすぐる魅力の詰まったv.Granz
走行にあたってはレーシングガレージが所有するマシンを乗り合いでドライブするジェントルマンが多いという。2023年のMEC120鈴鹿には実に13台のv.Granzが出走した。2024年も開幕戦をすでに終え、箇所で盛り上がったバトルが繰り広げられ、甲野氏は見事岡山国際サーキットで総合優勝を飾った。
フォーミュラのようなマシンでサーキットを走行したい方は、v.Granzも選択肢に入れてみてはいかがだろうか。