もっと速く走りたい! それはサーキットを走る人の最大の望みであり、なかなか達成できない願望でもある。
私はFJ1600で本格的にサーキットを走りはじめて15年目になるが、タイムアップできずに苦労する時期は定期的にやってくる。それでもレースで優勝争いができているのは、タイムアップするためのプロセスをしっかり踏んできたからだと思っている。
苦労のすえにタイムアップしたときの喜びや達成感はひとしおだ。この記事では私が実践している、タイムアップのための重要な「考え方」と「方法」をご紹介したい。
コースを分割してタイムアップ!
仮に5秒のタイムアップを狙おうとした場合、多くの人は5秒を一気に縮める方法を考えるのではないだろうか。だがそんな神業は存在しない。一気にタイムアップを狙ったドライバーの末路は、運が良くてコースアウト、悪ければクラッシュだ。そうならないためには、根本から考え方を変えることが必要になる。
そこでおすすめしたいのが、縮めたいタイムをコーナーの数で分割するという考え方。例えばコーナーが5つあるコースで5秒縮めたいのなら、1コーナーあたり1秒ずつ縮めていくのだ。さらに1つのコーナーを「減速・旋回・加速」の3つの区間に分割してみよう。そうすれば縮めるべきタイムは、1区間あたり0.33秒になる。
一つの方法で5秒を縮めるのは、難しいしハイリスクだ。だが0.33秒を縮める方法を15個見つけるのは、簡単でローリスクなのだ。
思いつくまま紙に書いてみよう
コースを分割したら、次は改善策だ。1区間ごとに最低でも3個、可能であれば5個以上の改善策を考えてみよう。どんなささいなことでもいい。思いつくままに書いていこう。
私は無理やりにでも10個ひねり出す。なぜなら、最後にひねり出した1個がタイムアップのカギだったことも少なくないからだ。
考えた改善策は、紙に書き出していくのがポイント。文章化することで改善策の理解が深まり、あとから読み返すこともできる。印刷したコース図の余白に書き込むとわかりやすくてオススメだ。
優先順位をつけてトライ&エラー
改善策を書き出した後は、いよいよ実際に試していく番だ。
だが1日の練習走行の本数は限られているから、すべての改善策を試すことはできない。タイムアップ効果が高く、失敗してもクラッシュするリスクの低いものから優先していこう。
1日で試せるのは1コーナーあたり1つ、多くて2つが限界だ。焦らずにじっくりトライ&エラーを繰り返そう。