スポーツランドSUGOで開催される入門向けの耐久レース形式イベントとして20年の歴史を誇るThe 耐感180min。1台のマシンを乗り継ぐ通常の耐久レースと異なり、ピットにマシンが戻ってくると、チームメイトが自分のマシンで出発します。
愛車でチャレンジできるというユニークな耐久形式のイベントが根強い人気を誇っています。今回も主催者であり考案者の尾形知臣さんに人気の理由や取り組みを聞いてみました。3月17日開幕戦に参加したドライバーからの生の声もあるので、参加を検討している方、ぜひ最後までお読みください。
主催者からのメッセージ
「耐感」はユニークな名前ですよね。どのような背景があったんですか?
当初は耐久レースの入門編として、「耐久を感じて」もらうことと、12月と3月に開催していたので、「耐寒」をかけた言葉遊びでつけたネーミングでした。夏場に開催した年は「耐汗」で「タイカン」と呼んでみたこともあります。
いずれにしても耐久レースを体感してもらうことが目的だったので、レギュレーションには頭をひねりました。「耐久レースには参加してみたいけど、人のクルマを壊してしまうのではないか」という懸念がドライバーを耐久レースから遠ざけてしまうのではないかという仮説を立てました。
「人のクルマを壊すのが怖いなら、自分のクルマで参戦できるレギュレーションにすればいい」と考え、それぞれのドライバーがクルマを持ち寄っても耐久レース形式イベントが成立するクラス分けとレギュレーションを作りました。排気量で区分した上で、VTECの1,600ccは上のクラスに入れるなど、仕組みを整えていきました。
The耐感180minはいつからどのくらいの頻度で開催していますか?
The耐感180minは2003年から開催しています。最初は年間2回の開催でしたが、レーススケジュールと経営の都合で4回から5回になる年も出てきました。回数を増やす中で、初心者を取り込むための特別ルールも設定するようになりました。
速い人が参戦するようになると、参加してみたい初心者にとっては敷居が高くなりますよね。そこで、一定以上のタイムで走れる人には参加をご遠慮いただいた年もあります。たとえば2023年はタイム制限付きの300分耐久レース形式イベントを開催し、29チームにエントリーしていただけました。
いろいろな方法で初心者の方を取り込み、最高で49チームにご参加いただいたことも。そのときはピットが足りなかったので、テントで仮設ピットを作って対応しました。2024年は3月、10月、12月に開催予定です。
最近はタイム制限を設けても速い方の参加が増えて平均のレベルが引き上がってきていますね。
どんな人に参加してほしいですか?
サーキットで耐久レースを体験してみたい人、アットホームな雰囲気のレースを楽しみたい人に来ていただきたいですね。そのためにブリーフィングも柔らかい雰囲気で行うようにすることで、過剰な闘争心をあおらないようにしています。
温かい雰囲気は安全性にも貢献するので、ブリーフィングでは最初に「一緒に走るドライバーは仲間なので、お互いにいたわりながら走りましょう」と伝えています。
安全性には強いこだわりがあるんですね。
「The耐感」は国際規格のサーキットで開催しているJAF非公認レースです。公認レースに響くような大事故は絶対に起こせません。そのためにも安全第一は雰囲気作りからです。
今後の展望を教えてください。
参加者を増やしながらも、競技の公平性を担保したいですね。参加者に楽しんでいただくためにも、毎回40チームくらい参加いただきたいと思っています。マシンの面では電動化への対策も必要ですし、パフォーマンスのバランスを取るレギュレーション設定の難しさもあります。若手にとってクルマの価格が高騰していることも課題ですね。
課題は多いですが、「SUGOの耐感だったら行ってみるか!」となるイベントづくりを地道に続けていきます。