インストラクターの道へ進む
同時期に鈴木氏は普段の仕事もレースに繋げるために、ドライビングインストラクターの道へと進む。転職先はポルシェエクスペリエンスセンターの講師。現在も「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」などで、月の半分以上を指導にあてている。
オーナーの技量と要望は多様だ。ある人は愛車で街を快適に走りたい。ある人はレースで「勝てる」技術を叩き込んでほしい。オーナーが求めるアドバイスができるよう、サーキットデビューする人の気持ちに寄り添って解決策を提案する。目の前にある課題を一歩ずつ解消するアドバイスで、多くのドライバーをサーキットやレースに送り出してきた。
この2年間でレクチャーしたドライバーは1,000名以上。一般道の運転から、サーキットでコンマ1秒を削るテクニックまで、必要な技術を全国のポルシェオーナーに届けている。
スーパー耐久デビューと新たな目標
翌2022年はレース欲が爆発。Super FJ、VITA、ロードスター、Vitzなどのレースに参戦した。
「1年間ひたすら練習を重ねていたので、ライセンス申請も兼ねてとにかくレースに出ました。Super FJやカートトレーニングで実力が高まっていることは確信していました。特にSuper FJ日本一決定戦は決勝の結果こそ振るいませんでしたが、リズムさえ合えば全国で叩けることを実感。スーパー耐久は憧れから、現実的な目標になりました」。
そして2023年、スーパー耐久にも出場しているレース仲間に相談し、ドライバーテストの機会を獲得した。テスト先のチームは、ST-4クラスの浅野レーシングサービス。1970年代から続く往年のプライベーターだ。テスト結果は合格。24時間耐久レースにスポット参戦し、チームは3位を獲得。デビュー戦で表彰台の味を知った。


しかし、鈴木氏には新たな目標が生まれた。24時間耐久レースでの華やかなレースウィークには感動しつつも、現在は「スーパー耐久を通過点にしたい」という思いを抱えながら練習と調整に明け暮れている。
「スーパー耐久は5年前から憧れていたステージ。ハンドルを握れたこと自体が素晴らしい経験で、デビュー戦での表彰台獲得は願ってもいない結果でした。しかし、同時にもっと速いマシンへの想いも強まってきました。今乗りたいマシンはSUPER GTやGT World Challengeを彩っているFIA GT3車両。早く走行経験を積んでレースに出たい。ウズウズしています」。
今後も鈴木翔也の活躍から目が離せない。&Raceも引き続き応援していく。