5月29日(木)STEL占有走行① 9:50〜11:20
初日の午前セッションは、決勝を見据えた「燃費の正しい数値の確認」と「マシンセットの方向性」を探る走行となりました。いつも通りチームオーナーの武夫さんが最初にハンドルを握り、マシンの感触をチェック。そのあとは伊藤くんがさらにセッティングを詰めつつ、藤原くんと細かく意見交換をしていきます。
そして最後に伊藤くんがニュータイヤでアタック!1分56秒794を記録して十分凄いと思ったのですが、走行後の本人曰く「まだ詰めきれていない部分がある」とのこと。マシンのポテンシャルは、もっともっと先にある……そんな手応えを感じる走行となりました。

5月29日(木)STEL占有走行② 14:50〜16:20
午後の走行は、大幅にセット変更を入れてのトライ。まず伊藤くんが走り出し、満タン状態でも安心して走れるかを検証したのですが、「これなら行ける」という手応えが出たところで、ついに私の出番がやって来ました。待ちに待ったこの瞬間。勇躍コースに飛び出しますが、しかし……コースインの瞬間、何とあまりの台数の多さに圧倒されてしまいました。
“これが24時間なんだ”と、身が引き締まります。開幕戦や鈴鹿の時も多かったですが、とにかく60台が集まったコースの過密感は圧倒的です。加えて最速クラスである「ST-X」とのスピード差は凄まじく、私の乗る「ST-4」車両とのラップタイム差は、1周で何と約20秒もあるのです。100Rやヘアピンでは、視界の外から一瞬で現れては消えていく。何度後ろを見ても“えっ?いつの間に!?”というくらいの勢いでやって来て、気が付いた次の瞬間にはすでに追い越されてる……そんな世界でした。
鈴鹿の時のように自分の走りに集中するというより、とにかく「周囲を見ながらのサバイバル」っていう感じが強かったことは否めません。今回はフル満タンの状態で走行していたので挙動も重く、抜くのも譲るのも必死になります。そんな状況下をオールドタイヤで6周計測して、ベストは2分01秒511が精一杯。満タン時の混雑時の走行をもっと経験し、勉強したいと感じました。
そのあとは近藤さんが走行をして、午後のセッションは無事に終了しました。


5月29日(木)夜間練習走行 19:00〜20:00
このセッションではマシンを温存しつつ、ナイトスティントを担当する芝さんが9周を走行。夜の視界や車両感覚を、しっかりと確認してくれました。
その後、近藤さんがステアリングを握りコースイン。順調に走り始めたのですが、突然後方部分を他車両に接触されてしまい、コース上でスピンを喫してしまいます。平穏な中での突然のスピンを知らせる無線に、ピットの空気が一瞬で緊張感に包まれたのは言うまでもありません。これがナイトセッションの怖さです。視界が落ちたことも手伝い、ちょっとした判断のズレが大きなリスクにつながってしまうのです。
今回の夜間走行を経て、「自分がどれだけ集中して気をつけていても、相手がいる限り100%の安全はない」という当たり前のことを、改めて痛感しました。だからこそ、自分にできる最大限の注意を払ってハンドルを握るしかないのです。それがレースの世界。緊張の中に、ものすごく深い責任感と覚悟が芽生えた夜でした。
