Super FormulaやSUPER GTも開催されるスポーツランドSUGO。複合コーナーが多く、数個先のコーナーを視野に入れてラインを選ばないと大きなタイムロスが発生しやすい。「マモノ」でおなじみのSUGOを攻略していこう。今回はN-ONE OWNER’S CUPシリーズチャンピオンである、川福健太氏がN-ONEでコースレコードを出した際の車載画像を用いて解説する。
1~2コーナー
1コーナーのブレーキングポイントは見かけよりも奥側だ。ホームストレートから1コーナーにかけては上り坂になっており、ブレーキを踏むと思ったよりも止まる。N-ONEやSuper FJの場合は50m看板付近でブレーキングし、勢いを残したままアウト側の縁石に向かって脱出しよう。
ここで注意したいのは、イン・アウトどちらの縁石も使わないことだ。特にイン側の縁石は背が高く、乗ってしまうとマシンのバランスを崩しやすい。アウト側の縁石は背こそ低いものの、車両に横Gがかかっている状態で乗り上げると、路面摩擦の差からリアタイヤが滑ってスピンを起こしやすい。
続く2コーナーの進入は一般的なアウト・インだが、脱出でアウトにふくらみすぎないことが重要になる。3コーナーからヘアピンの4コーナー手前までは全開区間なのでスピードを乗せたい。2コーナーでアウト側目いっぱいまでふくらんでしまうと、3コーナーでアウト・イン・アウトができなくなる。
3コーナー~S字
3コーナーを全開で抜け、ヘアピンに突入できるか否かが序盤セクションでタイムアップするカギだ。また、レースの場合はヘアピンがオーバーテイクポイントになるので、3コーナーでスピードを乗せられていないと、抜かれる可能性が高まる。
3コーナー・4コーナーイン側の縁石も比較的背が高いため、なるべく使いたくない。4コーナーはブレーキング勝負のポイントだが、クルマの止めすぎに注意だ。出口以降は登りの全開セクション。ボトムスピードを稼がなければ、ライバルに置いて行かれることになる。出口では4輪脱輪ギリギリまでコース幅を使い、登りの全開セクションに備えよう。
S字コーナーは車種によってアクセルの開度が異なるが、着実にクリップに着くライン取りで抜けていく。脱出後、ハイポイントコーナーまではストレートになるので、S字の2つ目は直線的に脱出しよう。なお、S字コーナーは縁石が2段になっている。1段目は背が低いので乗っても大丈夫だが、2段目に乗り上げるとマシンがバランスを崩して大きなロスになる。
ハイポイント~レインボーコーナー
SUGO2つ目の複合コーナーに差し掛かる。ハイポイントコーナーの方がレインボーコーナーよりRがきついが、コーナーが回り込んでいないため、進入速度はレインボーコーナーほど落とさなくてよい。ライン取りで意識すべきは、アウト側の縁石へ直線的に脱出することだ。どちらのコーナーも、イン側の縁石には乗らないようにしよう。
しかし、ハイポイントコーナーに突っ込みすぎると、マシンの姿勢が乱れたままレインボーコーナーへ突入することになる。レインボーコーナーの先に待つのは馬の背まで続くバックストレート。ここはコース全体で最も速度を乗せたい脱出ポイントだ。
極端な話、ハイポイントコーナーの突っ込みがレインボーコーナーに差し障るようであれば多少妥協してもいい。ハイポイントコーナーからレインボーコーナーの間に最も重視すべきはレインボーコーナーの脱出だ。横Gがかかっていてブレーキングが安定しない、縁石にタイヤを取られるなどの理由でレインボーコーナー前に車体が安定しないのであれば、ハイポイントコーナーの突っ込みを少しマイルドにすると全体のタイムが伸びるだろう。
レインボーコーナーの脱出では4輪脱輪ギリギリまでコース幅を使おう。レースや予選では厳しく脱輪がチェックされているポイントだ。縁石への乗り上げ方次第で、車種によってはスピンすることもある。タイヤから伝わる路面情報と会話するようにアクセルを立ち上げていこう。
馬の背コーナー
長いバックストレートが終わると、下り坂の先にブレーキング勝負の名所、馬の背コーナーがある。タイムアタックする際は、進入・脱出ともにコース幅を可能な限り広く使おう。下の写真の左側にある道すらもコースとして使っていく気概だ。
馬の背イン側の縁石は背が低い。ここはコースを広く使うために踏んでいこう。出口でもコース幅を目いっぱい使って立ち上がることで、SPコーナーに向けてスピードを稼げる。
SPイン・アウトコーナー
SPコーナーの一つ目、SPインはハイポイントコーナーのようにスピードを乗せて進入しよう。重視すべきは、SPアウトへの侵入前にクルマがまっすぐな状態になっていること。熟練ドライバーはSPインの脱出時、レインボーコーナーのように4輪脱輪ギリギリまでコース幅を使う。しかし縁石に乗ることにもなるので、挙動が乱れるようであれば少し進入速度を落とすなどしてSPアウトに備えられるように調整しよう。
SPアウトの進入前の体勢を重視するのは、速度を乗せてSPアウトを脱出し、高速の最終コーナーに備えるためだ。SPアウトも早めのターンインでコース幅を目いっぱい使い、最終コーナーに向けてスピードを乗せよう。
最終コーナー
N-ONEの場合、最終コーナーには全開で飛び込むことになる。車種によってブレーキ量は異なるが、いずれにしてもコーナー内にアップダウンがあり、ハンドルを取られやすい。クリップには面でつくイメージだ。アクセルをゆるめると致命的なタイムロスになるが、アウトに振られ始めると、ズルズルとガードレールへ引き込まれてしまう。SUGO名物のハイスピードクラッシュが発生するポイントだ。
インにつくことができたらアクセル開度を調整しながら、ホームストレートに向けて徐々にアウトへふくらんでいこう。直線に差し掛かる手前でマシンをアウト側に持っていければOKだ。
スリリングなSUGOを攻略しよう
SUGOはスピードを活かして各コーナーを攻略する必要がある、スリリングなサーキットだ。最終コーナーのように、リスクを冒さなければタイムを削れないポイントが多く存在する。また複合コーナーを攻略する際には、2つ3つ先のコーナーを見据えた走行ラインの組み立てが必要になる。それだけにSUGOの攻略は奥深く、多くのドライバーから愛されている。この記事が読者のコース攻略に役立てば幸いだ。