年齢による変化をカバーする「豊富な経験」
鹿島さんは1968年生まれ。年齢による身体の変化はやはり感じていると打ち明ける。
「動体視力や体力は以前のほうがありました。車内の暑さへの耐性も若い頃にはかないません」
しかし、その一方で確実に増えたものがある。それが「経験」だ。
「若い頃ならそのまま飛び込んでクラッシュしていた場面でも、今ならあと2〜3周待とうという判断ができます。ライバル車両の動きや考え方も見えてくる。以前よりもレース全体を見られるようになりました」
速さだけではない、レースを組み立てる力。それは長年の経験が積み重なって初めて身につくのだ。
「年齢とともに失うものはあります。でも、それ以上に経験という武器が増えていく。メンタリティやテクニック面の引き出しの数はとても増えています。だから年齢を重ねることは決してマイナスだけではないと思っています」
その言葉には、国内外のトップカテゴリーで戦い続けてきた鹿島さんだからこその重みがある。そしてその経験が今なお現役で走り続ける力となり、インストラクターとしての大切な財産にもなっている。
目のコンディションがいい理由
バイクが好きで、今も乗り続けている鹿島さん。バイクは目のトレーニングにもつながるという。
「バイクに乗るときは目下のメーターを見て、遠方を見て、サイドのミラーを見る。近くと遠くを交互に見るという動作を何時間も続けるので、目のコンディション維持にはすごく良いそうです」
鹿島さん自身も目の状態はとても良いそうで、医師にほめられるそうだ。

印象深いドライバーたち
鹿島さんはレース参戦のほか、番組の企画などを通じて数多くのドライバーを取材。世界で活躍するトップ選手たちも間近で見続けてきた。
「一番印象に残っているのは佐藤琢磨選手です」
佐藤琢磨選手がイギリスF3でチャンピオンとなりマカオGPをも制した頃、J SPORTSの番組で独占インタビューをした。その時に最も驚いたのは速さではなかった。
「物事のとらえ方が全然違いました。世界一になるための努力の仕方とか考え方とか、もうすべてが衝撃でしたね。この人は世界を代表するドライバーになると確信しました」
その予感どおり、その後の佐藤選手はF1ドライバーとして活躍。また日本人初となるインディ500優勝を成し遂げ、さらに2度目の優勝という偉業を達成する。
もう一人が、SUPER FORMULAやSUPER GTで活躍しグランツーリスモの世界王者でもあるイゴール・フラガ選手だ。鹿島さんはアメリカでGLOBAL MX-5 Cupに参戦中、同じサーキットで開催されていたUSF2000を戦うフラガ選手に出会った。
その時の彼は資金に恵まれた環境ではなく、父親がメカニックをつとめ、タイヤも他の選手の半分以下でしかも中古という厳しい条件だった。
「それでも誰よりも速かったんです。古いタイヤでこれなら新品だとどうなるのかと思いました。条件は悪くてもとにかく攻めるという、アグレッシブな姿勢があった。レースに向き合う気持ちの強さを何度も感じました」
他にも印象に残る選手は多くいるというが、この二人は特に「きらめき」を感じたという。




