前回記事を参考にしてコース幅を広く使って走れるようになってきたら、本格的なコーナーの攻略に取り掛かろう。単純にブレーキをギリギリまで遅らせて、早くアクセルを踏むだけではない。メリハリをつけて重視ポイントを考えることが大事だ。前回に引き続き、甲野将哉氏の解説をもとに紹介する。
コーナーの組み立て
コースを一周速く走るには「組み立て」という考え方が必要だ。
「組み立て」の概念
「コーナーに思いきり突っ込んだが、スピン寸前で余計に遅くなってしまった」。「左右連続するS字コーナーで、ひとつ目のスピードを落とさずに曲がったら次のコーナーがきつくて曲がりづらい」。こうなってはいくら頑張ってもタイムは縮まらない。
「ここのスピードは捨てる代わりに、あそこの速度を伸ばす」。
「ここでこのラインに入っていれば、次のコーナーに入りやすい」。
などと一連の流れを意識して走れば、タイムは徐々に伸ばせる。この「組み立て」の第一歩が、立ち上がり重視のコーナー攻略だ。
コーナーをどう走るか考える
「効率よく速く走るには、まず直線(ストレート)を速く走ることが有効です。直線を速く走るには「コーナーの立ち上がりを速く走る」ことが大切。アクセル全開にするのはもちろん、全開にする地点、全開にするときのマシンの状態が重要になります。
コーナリングスピードを多少犠牲にしてもアクセルを早く全開にした方がいい場合も。その先に長い直線や全開区間があればなおさらです」。
たとえばストレートの手前にあるヘアピンカーブなどは、コーナー後の速度がタイムを大きく左右する。コーナリング中の10mでスピードを稼ぐよりも、脱出後に待ち受ける100mのストレートスピードを意識した方が効率的だ。
立ち上がり重視の走り方では、コーナーの進入から旋回開始地点で速度が最小になる。だがコーナーの進入スピードを捨てる勇気を持つことで、全体のタイムを大きく短縮できる。
反対にコーナリング重視の走り方も存在する。たとえば高速コーナーの直後にヘアピンが待っている場合、高速コーナー後に加速距離を取ってもすぐにブレーキが来てしまう。それならばコーナリングスピードで稼いだ方が得策だ。
F1やビックレースでもお馴染みの、鈴鹿サーキット1コーナーなどが分かりやすい例だろう。実例はそれぞれのコース攻略の記事をご覧いただきたい。