F1や8耐など、多くのファンが年に一度の楽しみとするビッグレースを多く開催する、モータースポーツの聖地・鈴鹿サーキット。今回はFIA F4やスーパー耐久シリーズなどで鈴鹿サーキットを走ってきた伊藤慎之典選手と&Race編集長の三上和美が、その魅力を紹介する。聞き手はアナウンサーの結川愛寿加さん。
鈴鹿サーキット概要
| 住所 | 三重県鈴鹿市稲生町7992 |
| アクセス | 東名阪自動車道 鈴鹿IC・亀山ICから車で約25分 |
| 入場料 | 大人平日2,200円~ |
| グレード | 1 |
| コース | レーシングコース(5,807m) 南コース(1,264m) |
鈴鹿サーキットへの思い

結川 お二人が鈴鹿サーキットに向ける思いを教えてください
三上 鈴鹿サーキットは街の中にあるのに、反対運動にあったりせず街と共存しているのがロマンチックでいいですよね。
伊藤 僕にとってはSuper FJでたっぷり走りこんで得意になったサーキットです。ですが走れば走るほど奥が深くて難しいサーキットですね。コーナーの種類が豊富で、ひとつとして同じようなコーナーがありません。しかもコース全体に映像ではわかりづらい傾斜があることも、難しさに拍車をかけています。
三上 だから攻略が大変ですよね。私はシリーズ戦以外で走り込みのタイミングを取れたことがないのですが、難しさは同感です。鈴鹿を完全に攻略するには2,000周は走る必要があるとも聞きました。5回くらい生まれ変わっても攻略できない、奥深いサーキットを作った人には心から尊敬します。


結川 鈴鹿サーキットの好きなところを教えていただけますか?
三上 レース開催が多くて走行枠が少ないので、走れるだけでも特別感があります。F1ドライバーたちが称賛するサーキットを走っていると、聖地を走っている感動に酔いしれます。日本が世界に誇るサーキットだ、と感じますね。
伊藤 鈴鹿サーキットが一番走っていて楽しいと感じます。長いコースに多彩なコーナーがあるので、どれだけ攻めても攻めきれないところが逆に好きです。鈴鹿を速く走れれば、日本中のサーキットで速くなれるでしょう。
鈴鹿サーキットの得意不得意
結川 鈴鹿サーキットで得意なコーナーや苦手なコーナーを教えていただけますか?
伊藤 僕は得意・苦手の意識を作らないよう、好き嫌いしないようにしているのですが、スプーンコーナーや130Rは高速で「攻めている」という感じがして好きですね。130Rは車種によっては全開で抜けていきます。

三上 私は全コーナー好きですが、両想いになれていない感じがします。特にヘアピンはタイヤがタレてきていると、コンマ7秒くらい一気に落としてしまいますね。
伊藤 僕はあえて挙げるとすると、デグナーが少し苦手ですね。コースアウトすると戻ってくるのが難しいこともあり、コース幅いっぱいまで使って攻め切るのが難しく感じます。
三上 全部のコーナーが違う特徴を持っているので、頭の切り替えがすごく難しいです。特別なリズム感を必要とされる感じがします。
結川 鈴鹿サーキットはリズムが狂うと上手く走れなくなるのでしょうか?
伊藤 はい。先ほど話に出たヘアピンは西コースと東コースが切り替わるところなので、リズム感が変わるポイントでもあるんですよね。また、1、2コーナーからのリズムが特に重要です。前半セクションのどこかでリズムが崩れてしまうと、デグナーまで車速が乗らない状態が続いてしまうのが難しいです。

結川 そうして難しいコースを走ってきた後のホームストレートでは何を考えていますか?
伊藤 コース全体と、うまくまとめられた時にはタイムが出るのを楽しみにしながら走ります。
三上 1、2コーナーが難しいので「上手く走れないかも…」と不安を覚えながら走りますね。伊藤さんはいつも「1コーナーはコーナーじゃない」とか言うのですが、1コーナーと130Rの度胸試しに向けてホームとバックストレートは肩で息しています。
伊藤 1コーナーはストレートですよ(笑)
鈴鹿サーキットの思い出
結川 お二人は鈴鹿サーキットにどのような思い出がありますか?
伊藤 スーパー耐久で初めて出場したサーキットです。当時はDドライバーとしての参戦でしたが、Super FJで走りこんでいたので、他のドライバーよりも速く走れました。決勝はFCYのタイミングなどが影響して表彰台を逃しましたが、とても楽しいレースでした。

三上 私は2001年のスーパー耐久で初めて鈴鹿サーキットを走りました。当時はぶっつけ本番で、コースレイアウトもよく把握していない中での出走。10周しか走っていない状態で、正直鈴鹿をなめていました。コーナーが多いのでどこを走っているかわからなるし、高速コーナーは怖いしと、恐怖からショートシフトが増えました。
その結果、燃費が良くて棚ぼたで準優勝。シャンパンファイトは現在SUBARUで活動されている吉田敏博選手と一緒にしました。ピットに戻ってガソリンを抜いたら1リッターしか残っていなかったので、九死に一生という感じでしたね。


サーキットグルメ情報
結川 サーキットでは食事も楽しみたいです。お二人の好きな鈴鹿グルメを教えていただけますか?
伊藤 僕はサーキットの近くにある「天草」というお店のジャンジャン焼きが好きですね。他にも焼き肉やうなぎなど、近くにはいいお店がたくさんありますよ。
三上 私は鈴鹿で走るときにはいつもパドック内にあるレストラン「SUZUKAZE」のうどんを食べています。鈴鹿サーキットのスポーツ走行は9時から夕方までなので、軽いのが食べれるのが嬉しいです。
鈴鹿に憧れるあなたへ
三上 クルマ好きなら人生で一度は鈴鹿サーキットを走ってみてください。難しさからパニックになっているうちに走行枠が終わってしまうと思いますが、ぜひ機会を見つけてほしいです。
伊藤 F1中継などで目にする機会の多い鈴鹿サーキットですが、実際に走ってみると「ホームストレートってこんなに下ってるんだ」など、高低差が見せてくれる別の表情を知れると思います。ぜひ一度走ってみていただきたいです。
聖地鈴鹿サーキットのコースを走行できる機会は少ない。しかし、クラブマンレースや走行枠を見つけてコースに出れば、感動が全身を包むことは間違いない。セナ・プロの影を追うように1コーナーへ飛び込み、Gに耐えながらS字と逆バンクを抜ける。世界の名レーサーに思いを寄せつつ、同じアスファルトからタイムを削り取る喜びは何物にもかえがたい。


