フォーミュラデビュー前にミッション、空力を学ぶのに最適
スーパーカートの魅力は感覚的なものだけではない。トランスミッションを搭載し、エアロパーツをセッティングする要素を持つため、フォーミュラにデビューする前の練習として最適なのだという。
「カート経験者がSuper FJやFIA F4といったフォーミュラを走らせる場合、最初につまずくポイントがミッション操作です。スーパーカートはミッションカートのため、オーバーレブをしないための練習などを高い速度域で行えます。またフルサーキットを使用するためエスケープゾーンが広く、安全に走行経験を重ねられることも魅力ですね」。
フォーミュラ、特にF3以上のカテゴリーでは空力のセッティングも大きな意味を持つようになる。カウルの形状やエアロを配置する角度の微妙な違いによって大きな差が生まれるスーパーカートは、空力の学習にももってこいだ。

「車重が軽く、空力の影響を感じやすいマシンのため、セッティングを煮詰める練習には最適です。ステップアップしていくドライバーはSuper FJでミッションに、F3で空力につまずくことが多いです。その予行練習に最適なカテゴリーがスーパーカートだと思います」。
スーパーカートは通常のレーシングカートと比べても高額であることは否めない。カウルだけでも、レーシングカートに+αの投資が必要。しかしフォーミュラを破損させることに比べれば、練習用と割り切って投資する価値はありそうだ。
「レースに出る場合、マシンのレンタルから練習、決勝までコミコミで10万円程度だと思います。私の場合はチームで耐久レース費用を折半したので、さらに安価でした」。

走らせ方
スーパーカートの走らせ方は、カート専用のサーキットを走るレーシングカートとは大きく異なる。
フォーミュラのような走らせ方
スーパーカートは速度域と走るサーキットの特性上、フォーミュラカーのような走らせ方を求められる。高速度域からフロント寄りのブレーキでしっかりとマシンを止め、空力を使った走り方をする必要がある。また、Rが長い4輪用のコーナーでマシンをコントロールし続ける身体の強靭さや集中力が求められる。
駆動系はFIA F4のようなシーケンシャルミッション。カートからステップアップする若手ドライバーは、ジュニアフォーミュラのSuper FJで初めてHパターンミッションに触れ、FIA F4で初めてシーケンシャルミッションに触れる。レーシングカートからスーパーカートへと進む場合、ドライバーは一足早くシーケンシャルミッションを体験することになる。
セッティングでタイムが大きく変わる
「速度域が高まるほど、セッティングの差がタイムに大きく影響します。アンダーパネルひとつとっても、いかに車体下部の流速を高めてダウンフォースを稼ぐかと試行錯誤が行われています」。
通常のカートでも行うアライメントやギア比以外のセッティングがタイムに大きく響くことも、スーパーカートの特徴だ。エアロの角度などの積み重ねでグリップ力が変わる。もちろんタイヤの空気圧が与える影響も速度に比例して大きくなる。
スーパーカートで唯一無二のドライビング体験を!
「乗り手を選ぶカテゴリーではありますが、乗ってみればその面白さは確かなものです」。
視線は地上60cm、最高速200km/h。こんなカテゴリーは他に存在しない。プロのドライバーをして「死と隣り合わせ」と言わしめる迫力は、他のカートレースと一線を画す。身体で200km/hの風を感じられるレースは、2輪とスーパーカートくらいだ。もしもこれまでのドライビング体験に物足りなさを感じているのであれば、スーパーカートは至上のカテゴリーになるだろう。