Birel N35X
イタリア・ビレル社のN35Xは、Sodiがレンタルカートシーンを席巻する前に大きなシェアを誇っていたシャシーだ。国内で多く見られる組み合わせはヤマハMZ200・スバルEX21・ホンダGX200エンジン(いずれも4ストローク200cc)とダンロップタイヤを使ったセット。エンジンはどれも200ccの4ストロークだが、それぞれに特性がある。
「MZ200は高速型、GX200とEX21は中速トルク型の性格。MZ200の方がトップスピードが伸びやすいですが、キャブレター内で油面が偏りやすい傾向にあります。コーナーでGがかかったり、縁石に乗り上げて車体が傾くとガス欠症状に似た『ゴボつき』が発生することがあります。加速を見据えてコーナーではあまり縁石に乗らない、立ち上がりで丁寧にアクセルを開いていくといった対策が必要です」。
N35Xの重量はSodiのカートよりやや軽い140kg。Sodiよりもクイックに動く特性を持っており、より直感的なドライブが可能だ。とはいえ強引に振り回すような走りをするには車重が重く、Sodiと同じようにタイヤの限界を超えた動きをさせないような走りが重要となる。
「特にGX200エンジンを搭載したカートでは、タイヤを縦方向と横方向に使い分けるように走るとタイムが伸びやすいです。横Gがかかったヨーイング状態で一気にアクセルを踏むより、ゆっくりとアクセルを立ち上げていき、縦方向にグリップ力を使える状態になってから全開にしましょう」。
N35Xは歴史のあるモデルなため、モデルを切り替えたサーキットが中古品を放出することがある。新たにサーキットを立ち上げたい事業者が随所から中古カートを購入して揃える場合、エンジンの型式が違うものが並ぶこともある。どのエンジンが優れているという話ではないので、乗り比べてみても面白いだろう。
PK50・PK50M
PK50はかつてホンダ系のレーシングメーカー・無限が販売していたプレイングカート。レンタルカートが現在ほど体系化される前に、レジャーでも乗れるカートとして開発された。PK50にはホンダの原付Dioの2ストロークエンジンを搭載。PK50Mには同じくNSRのエンジンとトランスミッションが搭載されている。
「PK50は現代のレンタルカートよりもレーシーでクイックな動きが特徴。2ストロークエンジンは低速域のトルクが細い代わりに、高回転域では爆発的なパワーを発揮します。SodiやN35の動きでは物足りないレーシングカート経験者も満足するような軽快さで、面白い動きをしてくれます」。
コアなファンを持つPK50(M)だが、時代の流れには逆らえず、国内で乗れる場所は減少の一途をたどっている。東京都足立区のカート場・シティカートでも貸し出されていたが、同所は2023年6月に閉店。レーシングカートのようなレンタルカートに乗りたい方はぜひサーキットをチェックして、乗れるうちに足を運んでほしい。PK50のシャシーが持つクイックさを活かしながら流通量のあるEX21エンジンを組み合わせて、スピーディーなカート体験を提供しているフォーミュランド・ラー飯能のようなサーキットもある。
「PK50というだけでも現在ではレアになっていますが、栃木県の井頭モーターパークではPK50M(ミッションカート)のスプリントレースが開催され続けています。全国を探してもPK50Mでレースできる場所は井頭しかないと思います」。
その他
現在はシェアの大きいSodiとBirel以外にも以下のようなレンタルカートが登場している。
メーカー | |
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BIZ | イギリス製。F1リゾート秩父などで乗車可能な珍しいカート。 |
Tony | レーシングカートの名門。新東京サーキットがレンタルモデルを日本最速で導入した。 乗り味やタイムはN35Xに似ている。 |