モータースポーツで使うグローブは、ただの手袋ではない。握力や指先の感覚を路面へと伝え、マシンとの一体感を生み出す大切な装備である。汗でハンドルが滑るのを防ぎ、万が一の火災や飛び散る破片から手を守る役割も担っている。ところが、規格の違いや競技規定との関係はわかりにくく、最初に選ぶ一組を間違えると「出場できない」という事態になってしまうこともある。
この記事では、「滑り止め軍手」「カート用」「FIA未公認」「FIA公認」の4つに分けて、それぞれの使用可能なカテゴリーを整理。さらに、性能面の基本知識や選び方のポイントを体系的に紹介する。
結論|参加カテゴリーから逆算して選ぶのが安心
FIA公認グローブが絶対に必要になるのは「サーキットレース」と「ドリフト(D1)」である。それ以外の入門競技や草イベントでは、FIA未公認やカート用、さらには滑り止め付き軍手でも参加できることが多い。
ただし「参加できる」ことと「安全かつ快適に走れる」ことは別問題。近年は価格差も小さくなっており、長期的に考えれば安全性・操作性・練習効率を含めて最適なものを選ぶことが大切である。
規格ごとの使用可能カテゴリーと特徴
1. 滑り止め軍手

使用可能カテゴリー:レンタルカート、オートテスト、ラリー(アベレージ)
利点:安価で手に入りやすく、乾燥時も雨天時もある程度のグリップを確保できる。
価格目安:約500円
注意点:耐火性はなく、縫製や厚みの差で感覚にばらつきが出やすい。長時間の走行では擦れやほつれが起きやすく、手首が露出するリスクも残る。継続的に参加したい人や速度の高い練習を考えている人は、上位規格へ移行したほうが安心だろう。
2. カートグローブ

使用可能カテゴリー:レーシングカート全般
利点:耐火性能は不要な代わりに、強力なパッドや摩擦プリントでしっかりとしたグリップを確保。袖口も長めで手首を隠す設計となっている、ステアリングを頻繁に切る動作や振動にも強い。結果として疲労の軽減につながる。
価格目安:9,000円~
注意点:四輪の公認レースでは使えない。将来四輪のレースに挑戦する予定があるなら、最初からFIA公認を選ぶのも賢い選択である。
3. FIA未公認(難燃加工・一般レーシンググローブ)

使用可能カテゴリー:広場トレーニング、ミニサーキット走行会、サーキット走行会、ドリフトテスト、ジムカーナ、ダートトライアル、サーキットトライアル、ラリー(スペシャルステージ)
利点:価格と性能のバランスが良く、合成皮革やシリコングリップによる高い操作性を得やすい。難燃加工や長めの袖口で手首の保護もしやすい。
価格目安:7,000円~
注意点:JAF公認の四輪レースやD1では使用不可。火災時の性能要件や縫製基準がFIA公認とは異なるため、将来的に上位カテゴリーを目指すなら早めに公認品へ移行したい。
4. FIA公認(FIA 8856-2018 など)

使用可能カテゴリー:サーキットレース、ドリフト(D1)
利点:ノーメックスなどの難燃素材や耐熱縫糸を採用し、炎や高温から手を守る。最近の製品は掌プリントや立体縫製の進化により、素手に近い感覚を保ちながら疲労も軽減。価格差も縮まり、総合的に見ればコスト以上の安全性と練習効率を得られる投資といえる。
価格目安:18,000円~
注意点:サイズやフィット感を外すと感覚が鈍ることがある。必ず実測や試着で確認して選びたい。


