ようやく巡ってきたSUPER GTのチャンス
何でも乗れる能力でレギュラーシートを獲得
「SUPER GTのハードルは高かったです。2016年のデビューよりも前から、乗れるんじゃないかという話は何十回もありました。GTに乗るための努力は何でもやっていましたが、なかなかシートにはたどり着けませんでした」。
元嶋選手とTeam TAISAN SARDの2016シーズンは怒涛の展開で進む。
「僕の出走が決まったのは当時のTAISAN代表、千葉泰常さんの暴走の結果です。意図はわかりませんが、当時は千葉さんが元気だったので、ルーキーテスト直前にいきなり声がかかりました。マシンは旧型のアウディ・R8。予選では動かず、決勝日の朝に初めてエンジンがかかってなんとか完走しました。
第2戦までの間に千葉さんが新車を買ってきて、レースウィークにシェイクダウン。とんでもなくピーキーなマシンに予選Q1をどうしようと話していたら、チームメイトの密山祥吾さんが『初めてなら行ってきなよ』と言ってくれました。結果はQ1通過。千葉さんに『お前結構”乗れる”なあ』と言われ、シーズンを通して乗れるようになりました」。
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ウチのチームはなぜ遅い?
マシンは速かったが、チームは寄せ集めのメンバー。チームの継続も怪しく、成績を出すことは難しいと思われたことから、GTに参戦し続けるために誰かの目に留まらなければと必死だったという。
「大きな手ごたえがあったわけではありませんが、GT-R、BMW、ポルシェなどのGT3マシンには乗っていたので、感覚は理解していました。R8に乗ってそこそこ走れたのは、そのおかげもあったと思います」。
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しかし同じR8を駆るHITOTSUYAMAチームはランキング上位でポイントを量産しているのに、TAISANはポイント圏外でのフィニッシュが続いた。原因を探っていると、チームはシーズン中盤でタイヤ選択の難しさにあることに気付く。
「シーズンの前半はついてきたタイヤで走っていましたが、シビアにタイヤを選択して、マシンのセットアップに自分がアジャストする必要があることがわかりました」。
タイヤの課題に気付いたチームはシーズンの後半で調子を上げ、シーズン後半でコンスタントにポイントを獲得できるようになった。
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