ハチロクは「おいしい素うどん」
ハチロクに乗るなら、まずは運転を楽しんでほしいと坂本さんは言う。
「運転を楽しんで、そしてモータースポーツファンになっていただければ嬉しい。モータースポーツの場面でいうと、1500ccクラスからのステップアップにもおすすめです。ラリーにもドリフトにも使えるので、選択肢も増えます」
ハチロクファンにはサーキットでスポーツ走行を楽しむ本格派から、自分好みにドレスアップやカスタマイズをして楽しむ人、すっぴんが好きとそのまま乗っている人など多種多様だ。いろんな楽しみ方ができて、自分好みに仕上げていく楽しさがある。
「たとえるならハチロクはおいしい素うどん。いい素性の車を用意するので、あとは皆さん自身の楽しみにあわせてカスタマイズしてほしいです」
おいしい素うどんに、天ぷらを乗せるか月見を落とすかネギは少なめにするか。好みに合わせてぜひ楽しんでほしい。


最後にメッセージ
「安全装備や環境対応など様々な規制で、車のかたちは徐々に変わっています。ですが自分で運転する楽しさは不変。モータースポーツ起点のもっといいクルマづくりにチャレンジし、乗った人が笑顔になる車を開発していきたいと思っています。
ハチロクはファンがつながり大きなコミュニティを作っていて、たくさんの方に育てられてきた大切なモデルです。手の届きやすい価格の実用的なライトウエイトスポーツカーなので、多くの人に楽しんでいただきたいです。
ファンの皆さんとともにもっといいハチロクを作り、そしてハチロク文化やスポーツカー文化、モータースポーツ文化を共に盛り上げていけたらと思うので、皆さんもスポーツカーを楽しんで応援をよろしくお願いします」

坂本尚之さん
1999年トヨタ自動車入社。初代86やヴィッツGRMN、GRヤリスなどの開発に携わったのち、GRカローラのチーフエンジニアを務める。2024年5月よりGR86とGRスープラのチーフエンジニア。
最先端施設・トヨタテクニカルセンター下山
今回取材に伺ったのは愛知県豊田市の山間に広がる「トヨタテクニカルセンター下山」。トヨタ自動車の新たな開発拠点として誕生した、最先端の研究・試験施設だ。広大な敷地内には、車両開発のあらゆる工程を一元的に行えるテストコースや試験棟が整備され、走行性能、耐久性、安全性、そして環境性能までを総合的に検証できる。
自然の地形を生かして設計されたコースは、世界中の道路状況を再現。日本のワインディングロードから欧州の高速路面まで、幅広い条件での実走テストが可能だ。
また、開発棟は黒を基調とした重厚かつ洗練されたデザインで、最新の技術を追求するエンジニアたちが日々研究に打ち込む“知の拠点”として機能している。ここでは「もっといいクルマづくり」というトヨタの理念が息づいており、各部門が密接に連携しながら、未来のモビリティを形にするプロジェクトが進行中だ。
クルマ好きにとっては、まさに“トヨタの心臓部”とも言える場所。開発現場の空気感とともに、クルマづくりに携わる人々の情熱を肌で感じることができた。


受付にはサーキットを模した壁面デザインが施され
モータースポーツ精神を感じさせる空間

中央アトリウムには、ラリー仕様車やLEXUSの
最新モデルが並ぶ。木目の天井照明が温かい光を演出

吹き抜けの開放的な空間に車両が並び
まるで“未来のショールーム”のような光景が広がる

GRヤリスがそのまま展示されている。
隣には豊田章男氏の等身大パネルが並び
トヨタが挑戦を恐れない姿勢を象徴している。

人気作品とのコラボ車両・86MFGコンセプト
撮影:野崎 泰佑 安田 雅樹 瀬戸 修二 協力:トヨタ自動車株式会社


