ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦『NAPAC富士24時間レース』が、5月30日(金)〜6月1日(日)に静岡県の富士スピードウェイで開催されました。今戦は何と60台という、シリーズ史上最多のエントリー台数を記録。まさに「24時間に渡りしのぎを削り続ける、走るサバイバル」とも言える過酷な舞台に、各チームの熱い思いがぶつかり合う特別なレースとなりました。
前回のレポートでは、浅野レーシングサービス WedsSport GR86(18号車)の占有走行〜予選の様子をお届けしましたが、今回はその続き。いよいよ24時間の決勝レースのレポートです。

5月31日(土)S耐ウオームアップ走行 9:50〜10:20
雨の気配と、静かに高まる緊張感
決勝当日の朝、富士スピードウェイには大粒の雨が降り注ぎ、空は重たい雲に覆われていました。前日まではドライコンディションで予選が行われたのに、天候は一転。コンディションが刻一刻と変わるなか、サーキット全体に緊張感が漂います。
そんな中、マシンの最終チェックに臨んだのは武夫さんと、現役GTドライバーの藤原くん。実は18号車は本番に向け、昨晩かなり大きなメンテナンスを行いました。熟練の二人が走行データを慎重に確認しながら、ブレーキのタッチ、エンジンの吹け、タイヤの反応などを一つひとつ丁寧にチェックします。
「不安要素があれば、今のうちに潰しておく」そんなチームの思いを背負い、雨粒を切るようにコースを駆け抜けました。


5月31日(土)ピットウォーク 9:50〜10:20
あいにくの空模様にもかかわらず、富士スピードウェイには多くの方が足を運んでくださいました。もし快晴だったら、もっともっとたくさんのレースファンで埋め尽くされていたのかもしれませんが……
それでも、このコンディションの中「24時間を見届けたい」と来てくださった方々の存在が、私たちにとっては何よりの励みでした。

今回も、本当にたくさんの方が応援に駆けつけてくれました。ファン、仲間、友人、そして現役時代からの同志たち——。中でも、私がスーパー耐久に初めて出場した2000年当時から、毎戦欠かさず応援してくださっていた方との再会には胸が熱くなりました。「もう2度と会えないと思ってた」と、目に涙を浮かべながら手を握ってくれたその瞬間、言葉以上の想いがあふれていた気がします。
私はもう「プロのレーシングドライバー」ではありません。ただ走るのが好きでここにいる、ジェントルマンレーサーです。でもこうして年月を越えて、変わらず応援してくれる人たちがいるのです。
その事実が、私の歩んできた道が間違いではなかったことを教えてくれている気がします。この日のグリッドは、私にとっていつにも増して特別な「再会」の場になりました。


