東京近郊におけるレーシングカートの聖地である新東京サーキット。2025年でオープンから49年を迎える老舗コースだ。3代目の経営者である若濱真之介氏にインタビューし、施設の刷新や、カート業界の盛り上げに向けた施策などについて聞いた。聞き手は&Race編集長の三上和美。
新東京サーキット概要
住所 | 〒290-0256 千葉県市原市引田 字二本松249 |
アクセス | 館山自動車道 姉崎袖ケ浦ICから28分 |
全長 | 1,076m |
コーナー数 | 8(曲線数14) |
コース幅 | 8~11.5m |
カートにのめりこみ新東京サーキット経営へ
三上 まずは新東京サーキットの経営に乗り出すまでの経緯を教えてください。
若濱 5年ほど前に初めてレーシングカートに乗りました。私はクラシックカーに興味があって、そのレースに向けた練習のためです。海外のクラッシクカー乗りはドライビングが上手いので、腕を磨いておこうと思ったのです。
いざカートに乗ってみると、これがとんでもなく面白い。以降のめり込み、先代の方が経営を代わるタイミングで、引継ぎをさせていただきました。
ちなみに私はサーフィンが趣味なのですが、カートに乗ると体幹が鍛えられてすごくサーフィンが上手くなるんです。
三上 現在もよくカートで走られるんですか?
若濱 スプリントから耐久まで、新東京では年間30戦ほど参戦しています。クラスも空冷100ccのKTから水冷125ccのMAXまでさまざま。最近は少しずつ表彰台に乗れるようになってきました。
多い日には3つのレースにトリプルエントリーすることもあります。ヘルメットを脱ぐ間もなくレースを乗り継ぐ日は疲れますが、仕事に比べれば楽しいだけなので苦にはなりません。
それに自分が積極的にレースへ出ることで「あの人でもダブル、トリプルで出られるなら自分もやれるのでは」と思ってもらう目的もあります。帰りのクルマで悲鳴を上げていますが(笑)。

快適な場所を求めて…サーキットのこだわり
三上 新東京サーキットのこだわりを教えていただけますか?
若濱 私はカート歴が浅いので、心地良く過ごせる空間を作るためにお客様と同じ目線で走り、自分も楽しみながら経営にフィードバックしています。
サーキットには家族や恋人を連れてくる方もいます。走らない方が一緒に来ても快適な場所を求めて、レストランなども整備しています。ペットをお連れいただくことも可能で、犬と一緒に食事を楽しめます。
お客様の中には設備を提供してくださる方もいて、今座っているソファもお客様からのいただきものです。


三上 コースの維持にもかなり力を入れられているそうですが、具体的に教えていただけますか?
若濱 コースの維持では、2つの注力している作業があります。ひとつは土木作業、もうひとつはコースの細かいレイアウト変更です。特に土木作業はコースの水はけを維持するために必須の仕事で、私の日課でもあります。
雨の日になるとコースの横にある山から地下水が流れてきて、放置するとサーキットが冠水します。コースの地下には600mに及ぶ排水用の配管があるのですが、これまた放置すると詰まるのでこれらを交換・修理する。
それから側溝の泥をクワでかきだして地表の水はけを改善したり、他にも芝刈り機で草を刈ったりします。サーキット走行を成立させるための土木作業は目立たないですが、もっとも費用が掛かる仕事です。
サーキットのレイアウトは私が就任した時点で今の形にはなっていましたが、縁石の形と高さを変えたり、ランオフエリアを拡幅するなど、少しずつコースを改善しています。